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ボイス17 ページ17

居酒屋から出た私達は、なんとなくコンビニに立ち寄り、ジュースを買った。二人とも最寄りが同じで、駅近物件に住んでいたためすぐに帰れたのだが、なんとも話しかけづらくてコンビニの出入り口近くのベンチで無言のままコーラをかしゅ、と開け飲んだ。

「……帰ろっか。送ってくよ」

いきなりの若尾さんの声にびっくりして、コーラが気管に入りケホケホとむせた。深呼吸をしてむせを抑える。

「いいよ、すぐそこだし」

「……俺が送りたいの。だめ?」

「だめじゃ、ないけど」

なんだか若尾さんと会話をするとまたのぼせたような感覚に陥り、ごまかすようにまたコーラを飲んだ。




「そういえばさ、聞かなくていいの?」

帰り道、若尾さんがこちらを見て不思議な顔をして聞いてくる。質問の意図がわからなくて私は首を傾げた。

「……?何を?」

「いや……結構親しくなったし、俺がオンラインでボイスチェンジャー使ってる理由とか聞いてこないのかなって」

ああそんなことか、という態度でいると、若尾さんはねぇ何で?と詰めてくる。何にでも疑問を持つ子供のように見え、ふっと笑ってしまう。

「別に、人それぞれ何かあるでしょ、秘密みたいなの。本人が言う前に聞くのは野暮だし」

「へ〜、なんか大人だわ〜」

俺だったら職場にボイチェン使ってるやついたらマジでツッコんじゃうわと言われ、確かにしそうとぼそりと呟いた。





「お、これが藤田さんのマンション……」

「あんまりジロジロ見ないで」

3階のあの部屋、と指を指すと洗濯物が干されたままになっていることに気づく。下着が干してあったためやっぱウソウソあそこじゃないと言うと、「あ、水色パンツ発見」とデリカシーのないことを言われ彼の腰に平手でアタックをキメた。

「いったぁ、そんな怒ることないじゃん!」

「……若尾さんのデリカシー皆無男」

そう言うと、なんだよそれと笑われる。近所迷惑になるからとしーっとポーズを取って静かにするよう促した。


「じゃあね、またオンラインで」

再来週からは普通に出社なんだからね、と伝えるとあ〜、そうなのね〜と他人事のように返される。大丈夫だろうか、この人。こういうマイペースなところも可愛げがあるように見えて、本当に毒されてきた気がする。

「ばいばい」

そっと頭を撫でられて、若尾さんはすぐに後ろを向いて歩き出した。若尾さんの手の感触の余韻が私の心をかき乱して、夜は更けていった。

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設定タグ:ジャック・オ・蘭たん , 蘭たん , ナポリの男たち   
作品ジャンル:恋愛
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メタ子(プロフ) - トゲピーさん» 返信遅くてすみません!!ありがとうございますーー!!!!!! (2022年5月3日 23時) (レス) id: 304efcf4b3 (このIDを非表示/違反報告)
トゲピー - はーー!すきーーー!天才かよーー!!! (2022年4月3日 22時) (レス) @page45 id: 82454dfd4a (このIDを非表示/違反報告)
メタ子(プロフ) - 咲世さん» コメントありがとうございます!次回作頑張りたいと思います…🤗💕 (2022年2月23日 17時) (レス) id: 304efcf4b3 (このIDを非表示/違反報告)
咲世(プロフ) - 完結お疲れさまでした!この作品の蘭たんとても好きです!次回作も気長に待ってます! (2022年2月23日 14時) (レス) @page42 id: d952fb547f (このIDを非表示/違反報告)
メタ子(プロフ) - しいなさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてうれしいです…!気長に待っていただけるとうれしいです〜🤗 (2022年2月23日 11時) (レス) id: 304efcf4b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:メタ子 | 作成日時:2021年6月11日 1時

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