まるで双子のようにー４ー ページ10
練習のために体育館に向かう通路を歩いていると、体育館の中から悲鳴のような雄叫びのような、よくわかんない声が聞こえてきた。
と同時に、ドーン！とかガチャン！とかなんか色々ヤバそうな音が立て続けに聞こえてきて、何事？！と急いで体育館に向かう。
小川｢うわ、｣
目の前に広がっていたのは、あちこちに転がったドリンクボトルと倒れたドリンクケース。
そしてテーピングやらアイシングスプレーやら、中身が散乱したメディカルボックス。
と、ちょっと離れたところでうずくまるA。
あ、もしかして。
小川｢A！｣
急いでAの元に向かうと、目にいっぱい涙を溜めたAが｢智大〜！｣と泣きついてきた。
小川｢どこにいたの、クモ｣
｢救急箱の中……練習前にテーピングする人いたなーって思って、出しておこうと思って箱空けたら手にサササーッて！｣
思い出したのか、もー気持ち悪いー！とまた泣き出した。
つうか、俺の胸にクモが登ってきたであろう手をこするのやめて？
小川｢Aはいつまで経ってもクモ苦手だよなー｣
｢あんなの好きってほうが頭おかしいよ｣
小川｢はいはい。ほら、手、洗いに行こ｣
おいで、というとAは素直についてきた。
いつもこう。
昔っから虫の中でもクモだけは苦手で、俺が退治したりAのことなだめたりしてた。
Aの手を掴んで体育館を出ると、ちょうど練習に来た藍とタツ、祐希さんと関さんに会った。
みんなの視線は、俺たちの手に集中。
藍｢え、小川さんこれから練習っすよ？何する気ですか｣
大塚｢結構大胆っすね……｣
関田｢イチャイチャするなら後にして｣
石川｢ていうかマネージャー泣いてる？｣
祐希さんの一言に、みんなが｢えっ！｣と凝視する。
あー、なんか、面倒くさいことになりそ……。
藍｢小川さん、女性泣かせたんすか？！｣
なんてやつだ！
とギャーギャー騒ぐみんなを見て静かにため息を吐く。
｢あの、誤解です！イチャイチャしてるわけでも泣かされたわけでもないんで……｣
小川｢Aの言う通り。それにこれは俺たちにしかわかんないことだから外野は騒がないでくださーい。あ、藍。体育館散らかってるから元通りにしといて｣
藍｢え、俺ですか？｣
小川｢そ。中に変なもん入ってないか隅々までチェックしろよ｣
よくわかんないけど了解でーす、と藍を筆頭に体育館に入ったみんなは｢おわっ！なんだこれ！｣と驚いていた。
まあ、そうなるわな。
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作者名：めー | 作成日時：2023年10月28日 12時
