まるで双子のように《小川智大》 ページ7
｢らーーーん！早くタオル持ってこーい！｣
｢祐希さんドリンク補充するんでそれ投げてくださーい！｣
体育館に響く声。
よく通るけど、耳障りじゃない。聞いてて気持ちいい声。
男所帯の中で唯一の花·····なんて言われてるその人は。
｢ちょっと智大！ボケっとしてないで手伝って！｣
小川｢いや、俺マネージャーじゃねーし｣
気の強いマネージャー。
そして生年月日が全く一緒で実家がお向かいさんという、腐れ縁とも言える幼なじみ。
｢今日坂本くんいなくて私1人でみんなの分さばくの大変なの！見て分かんない?!｣
小川｢ぜんっぜん。さっきからうまく回してんなーとしか｣
そう言うと、わざとらしく大きなため息をつくA。
｢もういーや。智大と言い合ってるくらいなら1人でやった方がマシ｣
あっち行け、と言わんばかりに手でシッシッと追い払われた。
なんだよ、もう。
言われなくても行くし、と口を尖らせて踵を返す。
そこへスッとやってきたのは。
藍｢Aさん、俺手伝います｣
これ入れたらいいの？とAの返事も聞かずにドリンクボトルを手に取る後輩。
｢え、いいよ。藍はもうすぐ対人始まるっしょ。祐希さん手持ち無沙汰になっちゃうよ｣
藍｢じゃあ祐希さんも呼んじゃいましょ！3人でやったら早いし！｣
そう言ってまた、Aの返事を待たずにキャプテンを呼び寄せた。
石川｢なに、これ入れたらいいの？｣
｢いやいやいや。2人とも大事な練習時間が｣
藍｢Aさんにはいつも頑張ってもらってるんで。困ってる時は助け合わなきゃ！｣
石川｢そうそう。ギブアンドテイクね｣
｢いやぁ、助かります。ありがとうございます。藍も祐希さんも、どっかの小川とは全然違いますね！｣
そう言ってあっかんべーをしてくるA。
うっせ。
みんなAのこと甘やかしすぎなんだって。
なんか面白くない·····と思いながら、対人をするために同じリベロの山本さんの元に向かった。
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作者名：めー | 作成日時：2023年10月28日 12時
