10年後、あなたとー５ー ページ5
西田｢祐希さんって、Aさんと付き合ってるんすか？｣
石川｢は？！なんで？｣
西田｢うわっ、祐希さんドリンクこぼしたっ｣
アタック練習のあと、水分補給をしていて有志から言われた言葉に動揺してしまった。
西田｢その動揺っぷり。あやしー｣
石川｢いや。付き合っては、いない｣
西田｢じゃあ付き合ってたとか？｣
石川｢それもない｣
俺とAさんは、付き合ったことも現在付き合ってる事実もない。
ただの、高校の先輩後輩だ。
でも、お互いに好きではあった。
告白して、｢私も好きだよ｣とは言ってもらえたけど。
俺には将来があるからバレーに集中して、とか言って付き合うことは拒否られた。
うん。今思い出してもちょっとつらいな。
で、そのあとに言ってくれた言葉が『近い将来ナショナルチームで会えるかもね』というあの言葉だった。
10年間、辛いことがあったときはその言葉を思い出して頑張ってきたんだ。
西田｢えー。じゃあなんで昨日二人で抱き合ってたんすか？｣
石川｢ちょ、おまえ声……っ｣
時すでに遅し。
有志の声に、周りが反応しないわけがない。
藍｢祐希さん！Aさん別室に連れ込んでそんなことしてたんすか？！｣
石川｢あれは個別トレーニング！Aさんはヒアリングで来てただけだから｣
大塚｢でも抱き合ってたんは嘘やないってことですよね？｣
石川｢俺が一方的に抱きしめただけ｣
藍｢え、それってセクハラ……｣
石川｢藍。あとでレセプション100本な｣
えー！そんなのむり！祐希さんのサーブエグすぎて腕しぬ！
なんて叫ぶ藍はほっといて、とりあえずその場にいたみんなには言っておこう。
石川｢言っとくけど、Aさんは俺のだから｣
西田｢え、でも付き合ってないんですよね？｣
石川｢うん｣
藍｢じゃあ、俺にもチャンスあるやん｣
石川｢無いから｣
なんか後輩たちがギャーギャー言ってるけど、ちょうど良くAさんに呼ばれてその輪から抜け出す。
｢さっきのアタック練習見てて思ったんだけど……｣
タブレットを見せながら説明するAさん。
画面を覗き込むのを理由に、グッと顔を近づけて相槌を打つ。
｢祐希近くない？｣
石川｢Aさんといられるのが嬉しくて｣
｢そういう感じ、昔から変わってないね(笑)｣
石川｢だめ？｣
｢練習中は控えてね｣
一応仕事中！と言われたけど、ここで引いたら俺じゃない。
石川｢じゃあ宿舎戻ったら会いに行く｣
拒否権無いからね？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 341人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：めー | 作成日時：2023年10月28日 12時
