10年先も、あなたと《石川祐希》 ページ18
※『10年後、あなたと』のその後のお話です
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｢そういえばさ｣
石川｢うん？｣
Aさんと付き合うことになってから、毎日のようにAさんの部屋でごろごろしてる。
貴重な貴重な、２人だけの時間。
そこでなにか思い出したのか、Aさんが口を開いた。
｢高校の時のさ、うちらのちょうど間の学年の村元くん覚えてる？｣
石川｢村元……あ、玄太さん？セッターの｣
｢そうそう。この間、駅前で村元くんにバッタリ会ってさ。最近結婚したんですーって聞いてびっくりしちゃった｣
石川｢え！玄太さん結婚したんだ？！うわー、玄太さん超奥手だったから結婚はまだ先かと思ってた！そっかぁ、なんか嬉しいね｣
玄太さんは俺の１個上。
俺が１年の時、自主練の時によくトスあげて付き合ってくれた先輩。
その性格ゆえ、控えメンバーで終わったけど影で選手を支えてくれた超いい人。
｢その村元くんの奥さんがね、またびっくりなんだけど｣
石川｢え、誰？知ってる人？｣
｢一緒にマネージャーやってた、村元くんと同学年の若菜だったの｣
石川｢まじで？！若菜さん？！｣
若菜さんも玄太さんと似たようなおとなしめの人で、でも気配り上手でマネージャーとしてすごく頑張ってくれた先輩だ。
石川｢なんか、意外だわ……｣
｢まあ、みんな大人になったってことよね。私だってもう30だし？｣
周りも続々と結婚だの子供が生まれただのの報告が〜、と話すAさん。
ふと、聞いてみたくて思い切って口にしてみた。
石川｢Aさんは、結婚願望ってあるの？｣
｢私？そりゃあねぇ……。結婚が幸せの全てじゃないけど、今まで、大好きな人とそういう風になれたらなって思うことはあったなあ。……って、祐希相手に話すとあれだね。まるで結婚を迫ってるみたい。いまのは気にしないで。べつに焦ったりしてるわけじゃないから｣
石川｢俺は初めからそのつもりで付き合ってるけど｣
｢え？｣
石川｢だから、その……。Aさんとの将来を考えてる、っていうか｣
｢え、あ……。そう、なんだ？｣
思わず話の流れで言っちゃったけど、なんか微妙な空気……。
くそー。本当はこんなはずじゃなかったんだけどな。
もっとカッコよく決めたかったわ。
急に自分の言動が恥ずかしくなってきて、｢ごめん、俺の話も気にしないで｣と赤くなってるであろう自分の顔を両手で隠す。
10年先も、あなたとー２ー→←まるで双子のようにーAfterStoryー
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作者名：めー | 作成日時：2023年10月28日 12時
