ショート・ストーリー (ページ2)

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10年後、あなたとー２ーページ2

時が経つのって早いもので。

2022年5月。
イタリアリーグが全て終了して、日本代表の合宿に合流するために帰国。

これから、諸々の用事を済ませたら合宿場所のトレセンに向かう予定だ。

Aさん、もう合流してんのかな？
先に集まってる選手たちとうまくやってんのかな？

会うの、10年ぶりかぁ。
たぶん無いと思うけど、俺のこと覚えてなかったらどうしよ。

そんなことを考えていたら、先に合流していた有志からLINEのメッセージが送られてきた。

石川｢……あはっ、変わってねぇ〜。いや、でも……きれいになった、かも｣

一人でスマホを見ながらニヤついてる姿は、周りから見たら滑稽だろうな。

有志からのLINEは『チームジェイテクト！』というメッセージと共に一枚の画像が送られてきた。
そこには、有志と関田さん、そして10年ぶりに見るAさんがピースして写ってる。
Aさん、相変わらずいい笑顔してんなあ。

石川｢ていうか、関田さんが一番ちっちゃいし(笑)｣

Aさんの身長は高3当時でたしか179cmだったはず。

自身も中学までバレーをやっていたAさん。
女子でそれくらいあったら、アタッカーとして重宝されただろうに。
腰を痛めてあっさりと辞めちゃうあたり、Aさんらしいというか。

ていうか……

有志がこれを俺に送ってきてるってことは、Aさんも俺が来るって知ってるってことだよな？

まあ、アナリストなら選手のデータは把握しとかなきゃだから、登録選手を知らないわけないか。

Aさん、どんな気持ちでこの写真撮ったのかな。
俺に送るって、分かってたのかな。

石川｢あぁ〜……早く会いてぇ〜｣

有志に『これからそっち行くから待ってろ』と返信してスマホをポケットにしまう。

石川｢よっしゃ。サクッと終わらせてトレセンに向かいますかぁ｣

うーん、と背伸びをしてタクシーに乗り込む。

移動の間、もう一度さっきのLINEを見返して、送られてきた画像を保存したのは有志には内緒。