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17 ピオ ページ17

ピオの膝の上に座ったまま、町の景色を眺める。

「十字架がダメ、とか太陽の光がダメ、とか」

沈んで行く太陽を眩しそうに眺めるピオを見上げる。

「平気じゃん」

『得意ではないけど』

そう言いながら私の髪をかきあげる。
露わになるうなじ。
そこに顔を近づけてくる。

「飲まないんでしょ」

ぺしっと頭をはたいてやる。

開けた口をそのままに、私をしかめっ面して見てくる。

『Aのなら飲んでもいいんだけど』

「飲まなくていい」

その時風が吹いてきて、私の髪もピオのスーツもはためく。

深く息を吸い込んだかと思うと私の顎を持ち上げて。

『いただきます』

間髪入れずに唇が重なった。

「ちょっと!」

赤くなる頬を隠すように強めに肩を押し返す。

「それどうにかなんないの?!」

『なに?』

「血を飲むとか、きっキスするとか!」

『嫌なの?』

「いっ嫌に決まってるでしょ!」

『ハハッ』

そういうと笑ったピオ。
整った顔がくずれると可愛くて。

『嘘つくなよ』

でもそれも一瞬。
可愛さなんてふっとんでしまった。

『俺が何百年も待ってたのは』

話しながらかけていたメガネを外し、するっとポケットにしまう。

『Aなんだから』

『これがないと生きていけない』

そう言って私の唇をぺろりと舐める。

『うま』

そう言って不敵に微笑む。

「なにやってんのっー!」

もう恥ずかしくて顔から湯気が出そう。

『こうしないと俺は生きてけないの。言っただろ』

「聞いてないっ!」

ピオの胸をポカポカ叩く。

『嬉しいくせに』

「だれがっ!」

『俺は嬉しいけど』


そう言って私を抱きかかえて立ち上がった。

「ちょっ」

また文句を言ってやろうと顔を見上げたら、ものすごく優しい顔をして私を見ていて。

『ずっとずっと待ってた。やっと見つけた。俺をAのキスなしじゃ生きていけなくしたのはお前だから』




すっかり夕日もしずんでしまって、あたりは薄暗く。
顔を隠すために私からピオの唇に近づいたのも、誰も気がついていなかった。

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メイベル - 1~5まで全話読ませていただきました!とても面白かったです(^-^)もしよろしければユグォンのお話をもっと見てみたいです!更新お待ちしております(_ _) (2019年12月28日 16時) (レス) id: 398ec1baa9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らん | 作成日時:2017年1月9日 23時

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