14 パッキョン ページ14
雨の音がする。
ザーザーと空を埋め尽くしてるに違いない。
せっかくの日曜日なのに。
そう思いながらベッドの中で寝返りをうつ。
それからベッドの中を探す。
手を伸ばせばそこにいるはずなのに、居ない。
少し顔をあげて部屋を見渡した。
グレーのカーテンは開かれているけれど、その先に広がる空も同じくらいグレー。
だから薄暗いまま。
ベッドの反対側が誰かがめくったみたいに折れてる。
そしてその先のドアが少し開いてる。
「キョン」
小さくつぶやく。
寝起きの頭を少しふって、もう少し起き上がる。
「キョン」
もう一度。さっきより少し声を出して。
サイドテーブルの時計を見るとまだ起きるには早い。ましては日曜日だ。
少し待っても何も聞こえない。
「キョン!」
ため息をひとつついて、またベッドに体を沈めた。
雨の音が遠くに聞こえる。
だんだんまた眠くなる。
遠くで物音がする。
パタンとドアが閉まる音がして、重みで軋むベッド。
後ろからふわっと腕が回ってきて、そのうでに頭を預ける。
『どうかした?』
抱き寄せられながら耳元で聞こえる声。
「なんにもない」
目をつぶったまま小さく答える。
少し拗ねた口調を感じたのか、ふっと笑う声。
「起きたら居なかったから」
また寝返りをうってその細い胸に抱きつく。
『寂しがりやだな』
そう言いながら頭を撫でてくれるキョンの腕の中が心地よかった。
雨の音が聞こえるけれど、もう何も気にならない。
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メイベル - 1~5まで全話読ませていただきました!とても面白かったです(^-^)もしよろしければユグォンのお話をもっと見てみたいです!更新お待ちしております(_ _) (2019年12月28日 16時) (レス) id: 398ec1baa9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らん | 作成日時:2017年1月9日 23時