文化祭一日目 30 ページ4
《また、結凪sideです》
泣いていたら、誰かが入ってくる足音が聞こえてきた。
やばいどうしよう、陽稀だったら心配させちゃう。
私は慌てて目を擦って、涙を拭った。
中に入ってきたのは、陽稀だった。
陽「結凪、買ってきたよ……ってどうしたんだよその目！」
『えっ！』
陽「えっ！じゃなくてその目、すごく充血してるじゃん。どうしたんだよ」
『知らない』
陽「知らないわけないだろ、自分でやらなきゃこんな事にはならないんだから。何したんだよ」
『何にもしてない……』
陽「嘘つくな」
『ホントだよ、何もしてないもん……』
陽稀のことで泣いてたなんて言いたくないから、私は嘘をついた。
それを見た陽稀は、強情だなぁと思ったのかため息をついた。
陽「結凪、お前泣いてただろ。それで、俺が来たからバレないように目擦って」
『泣いてないよ！』
私は、強い口調でそう言った。
陽稀に言い当てられたけど、それでも違うよって言いたくて。
陽「はぁ……結凪、怒らないから本当のこと言ってくれよ。そんなに俺が頼りないのか……？」
『ちがう、そんなんじゃない。そんなんじゃなくて……』
陽「じゃあなんなんだよ！」
陽稀に強い口調でそう言われて、私は少し怖くなった。
『ううっ……そうじゃないの、違うの。陽稀を傷つけちゃったことが辛くて、申し訳ないなって思って、そしたら泣いててそれで、それで……』
陽「もういいよ、もういい、俺が悪かったから。だからもう泣かないで、泣いたらまた目が腫れるから」
陽稀はそう言うと、私を抱きしめてなだめた。
だけど、さっきのが怖くて私はそれからしばらく泣いていた。
私が泣き止んだ頃には、アイスは完全に溶けていた。
陽「アイス、溶けちゃったな。どうする？」
『保健室の冷凍庫借りて冷やしてもいいと思う。それよりも、目が痛い……』
陽「あー……さっきよりも腫れがひどいかも」
『えっ……』
ショックだった。
陽「そんな顔しないで、アイス冷やしてる間瞼の上に濡らしたタオル乗せておけば少しは腫れは引くからさ」
陽稀は微笑みながらそう言うと、アイスを冷凍庫に入れて戸棚からタオルを取り出すと濡らして私に渡した。
濡れたタオルを受け取った私は、それを瞼の上に乗せると眠りについた。
陽稀がそばにいてくれるから、なんか安心して眠れそうだな。
なんて思いながら、私は眠りについた。
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作者名：茉莉花 | 作成日時：2018年4月23日 22時
