31 パッキョン ページ31
6月の後半。まさに梅雨真っ只中。
毎日毎日これでもかって雨が降る。
外はジメジメ、髪の毛も決まらない。
練習室は熱気と湿気がまじって汗も気持ちが悪い。
ほんとに嫌な季節だ。
カムバに向けてダンスレッスン。
そのために毎日事務所に向かう。
今日も、もう乾いてる所なんて無いのに、雨が降り続けてる。
俺にはそれが嬉しい。
なぜかって？もうすぐ分かる。
だからこうして裏口に立ってるわけだ。
『Aヌナ〜！！！』
手をブンブン振りながら呼びかける。
下を向いて歩いていたヌナが顔をあげる。
「キョン！どうしたの？今日はもう終わり？」
『もう終わった〜！だから一緒に帰ろ？』
「また？いいけど私歩きだよ？」
『いいよ〜知ってるから。歩こうよ』
ヌナが外をチラッとみて言う。
「雨降ってるよ？」
『見たらわかるよ』
得意気に頷く。
「傘あるの〜？」
Aヌナがレモンイエローの傘を開けながら言う。
『ない！』
「やっぱり。キョンはお天気予報みないの？」
『見ない！アイドルだもーん』
「しょうがないなー。もう」
そう言いつつ、ヌナも笑顔だ。
傘の中に入れてもらって歩き出す。
『ほら。もっとそっちやらなきゃ濡れちゃうよ？』
「私はいいの！キョンはアイドルなんだから。これでも」
そう言って傘を傾けてくれる。
おかげでヌナがべしょべしょ。
雨が降る日は毎日こんなんやりとりをしてる。
そして2人で楽しく笑う。
『明日は晴れるかな？』
歩きながらヌナに聞いてみる。
「雨でもいいけどねー」
「晴れだと寂しいかも」
「キョンアは絶対傘忘れちゃだめだよ」
『任せて！』
そう言ってたのが3日前。
あれから久々に雨がやんで晴れの空が続いた。
でも今日の天気は今にも降り出しそう。
黒い雲がどんよりと垂れ込めている。
帰ろうかな、そう思う頃には大粒の雨。
お気に入りのライムグリーンの傘を取り出して裏口へ向かう。
今日も一緒に帰れるかな。
そんな期待を胸に抱いて。
ヌナと歩く街は雨が降っていても素敵だから。
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らん(プロフ) - すーんさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです。中々思うように出来ませんがまた見てください。ありがとうございます (2016年8月20日 1時) (
レス) id: be474ec87e (このIDを非表示/違反報告)
すーん(プロフ) - ハマりました！更新まってます！ (2016年8月20日 0時) (レス) id: dc57f5d664 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らん | 作成日時：2016年8月17日 0時
