short story S

8 ユグォン ページ8

「いいよ、そんなの！エンジェルゆぐちゃん堪能してくるから！」
《いいな〜、わたしもやっぱりジコに会いたかった》
「ね、ゆぐにBeeちゃん貰ったらどうしよう。釣られちゃったらどうしよう」
「あー！泣けてきた！」

ぐすっ

《え？ほんとに泣いてんの？もーAは！(笑)しっかり目に焼き付けてくるんだよ！泣いてちゃだめだよ》
「うん。考えるだけで泣けるからまた連絡する」


そう言ってえみりとの電話を終わる。

あー、だめだ涙が出る。ぐすっぐすっ
妄想にも程があるけど、それだけゆぐに会えたら嬉しい。視界に入れたら嬉しい。ううん、歌を聴けるだけ、パフォーマンスを観れるだけで嬉しい。

「はー、だめだ」

上を向いて涙をこらえる。感極まりすぎ。
そのとき

『ダイジョウブですか？』

頭の上から声がした。目をぱっちり開ける。

「え？」

『あ〜、すいません。泣いてたみたいだったから』

「えっ？えっ？えっ？」

だめだ、信じられないけど涙が止まらない。

『あー、泣いちゃう？』
『ゴメンナサイ』

こんなことってある？ドラマなの？漫画なの？
私の後ろに座っていたジャージの人が

「え？ほんとに？ほんとに？」

顔も見れない。手が震える。

『ホントダヨ〜』

その一言で涙が止まる。思考停止。

「なんで、こんなとこに」

『リハまで時間あるから』
『なのに入りが早すぎて』

「あっ。あぁ。そうですね。そうか、そうですね」

『ハハハ！ほんとにダイジョウブー？』
ゆぐが固まる私をみて笑う。
なんなの夢みたいすぎて信じられないの。

「大好きです。応援してます。頑張ってください」

だめだーこれを言うのがやっと。また泣けてきた。

『アリガトウゴザイマス〜！がんばる〜！』

そしてハグしてくれた。
もうだめだ。ふらふらしてきた。
『Ｂeeちゃん頑張って投げるからね〜』

電話聞こえてたんだ！恥ずかしい。

「ありがとうございます。楽しみにしてます」涙

ぺこぺこお辞儀。あんなに会いたかったゆぐなのに今は早くこの場を立ち去りたくて仕方ない。無理

「じゃあ、」
『一瞬にいこうか』
ゆぐに手をぐいっと引っ張られる。
「えっ？」

『まだまだ時間あるよ！メンバーに会う？』

「えっ？」

『行こう！』


そのまま手を引っ張られたまま進んでいく。
明らかに関係者以外立ち入り禁止の扉を越えて、


『最高の1日になればいいね！』

エンジェルスマイル。生スマイル
くらくらする。



ゆぐちゃん。もうなってます。

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