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向上心(2) ページ19

Side貴女

「あっま、甘すぎるでしょこのカレー」

私の料理に文句を言うお兄ちゃん。許さん。

「僕は美味しいぞ」

上品に食べながら芥川先輩は言った。食べ方綺麗。

「全く、私の周りには丁度いい辛さのカレーを知らない人ばかりだ」

ため息をつきながらお兄ちゃんはカレーを一皿全部食べ切った。

「それじゃ、私は帰ることにするよ。国木田君も血圧が上がっている頃合いだし」

国木田さんに密かに手を合わせる。
玄関まで送るとお兄ちゃんが私の手に何かをポスッと置いた。

「こういうのは、ちゃんとすること。お兄ちゃんとの約束」

肩に手を置かれ、耳元で囁いてからお兄ちゃんは颯爽と帰った。

お兄ちゃん、私達そこまで進展してないです。今は、お互いの愛を確認中の時期なんです。

私は…もっと先に進みたいんだけどね。
掌にあるものを見るまでもなく乱雑にポケットに突っ込んだ私はきっと悟った笑顔をしていたのだろう。
ーーー
Side芥川

晩御飯の片付けも終わり、リビングで2人だらだらしていた。

「A、ちょっとこっち」

Aは私の近くに来て座る。顎をすくい上げ、見つめ合う形になる。

「キス…していいか」

尋ねるとAは目を伏せて頷く。長い睫毛が彼女の魅力を引き立てる。
ちゅ、と重ねる程度のキスをするだけでAの肩がピクリと震える。

「好きだ…」

身体を離すとAは惚けた様子で物足りなさそうな顔をした。
それだけでもっとキスしたくなるのをこらえる。…嫌われたくない。

「ちょっとお手洗い行ってきます」

バッと立ち上がってAはトイレへ行った。

……ぬ?

「!?」

Aが立ち去ったところに何かあり、よく見るとなんと……ゴムだった。
徐々に状況を理解する。
そうか、僕はずっとAを我慢させていたのか…そうか……(錯乱)
だとすれば僕がすべきことは1つ。

「A」

戻ってきたAの腕を引っ張ると簡単にバランスを崩した。

続けてソファの上に押し倒す形になる。

「え…せんぱ…い…?」

「すまんな、気づくのが遅くなって」

頭の上にはてなマークを浮かべるAにゴムを見せると顔がサーッと青褪めた。

「それはちがっ……」

まぁそう照れるな。暴れるAを押さえつける。

「僕も同じ気持ちだった…嬉しい…」

そう言うとAは真っ赤になってバタバタをやめた。

「優しくする」

そう言うとAは頷き、キュッと目を瞑った。
愛が溢れて零れそうで怖くなって、僕はAの額にキスを落とした。

どうか、2人の愛を永遠に。

貴方への答えを【立原道造】→←向上心【芥川龍之介】



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赤羽 - 最高!続きいつまでも待ってます、、二千年後も (2月23日 17時) (レス) @page25 id: 462520c403 (このIDを非表示/違反報告)
りお - 加藤めっちゃ人気やな…良かったな加藤☆ (6月13日 20時) (レス) @page25 id: 277740fe28 (このIDを非表示/違反報告)
るりら - 最高 (2022年12月25日 16時) (レス) @page7 id: db0aaa71fc (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - 加藤ー!安吾よ。((後何言うんだっけ?あれ? (2022年3月10日 21時) (レス) @page25 id: e165a9ec89 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花 - 推していても推していなくても、全てのキャラがかっこいい…素敵な作品、ありがとうございます! (2022年1月22日 13時) (レス) @page25 id: 4b25a88413 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しぐれった | 作成日時:2019年7月7日 14時

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