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愛は遊戯で奪うもの【中原中也】 ページ16

「「「「王様だーれだ」」」」

「ちっ……僕だ」

梶井が口を尖らせながら紙を引いた。

「4番が3番に壁ドン」

おお、オーソドックスなの来た。
これは3番かな。…うん(確認)。

「4番俺だ…やっと」

ゆあーんと中也が立ち上がった。

私を壁へ押しやり、中也の肘が壁につかれる。
手の時よりも顔と顔の距離が近い。

「ん、終わったね…………………っんぇ?」

急に身体の力が抜ける。 ドクン、と血が波打った。
ズルズルと壁を伝って落ちそうなところで私の足の間に中也の膝が入り、グッと肩を壁に押し付けられる。

「6分…最短」

後ろの方で梶井が時計を見て呟いた。
くそ…熱い。

「どうした?」

ニヤニヤと笑いながら中也は私の顔を覗き込んだ。

「あ…つ…っ………はぁ…」

ごくりと中也の喉が上下した。

「くそ、ずっと我慢してたのに…」

逃げられないように私の頭の後ろに手を回して、中也は獣が貪るようなキスをした。
熱い。

中也の膝が段々と上がってくる。
力の入らない身体と共に、中也のキスによって息ができなくなり、思考停止状態の頭。

「ぅ……も…っ…と」

苦しくて縋ってしまいたくなる。

「…煽んな」

首筋に歯を立てられる。
強く吸われて、噛み付かれて…唇が離れた頃にはじんわりとした痛みと暑さが残る。

…足りない。食べて欲しい。

「中也君、やりすぎ」

ぐいっと首領が中也君の肩を後ろに引いた。
フーッフーッと猫のような息をしている中也はやはり猫のように首領に服の首根っこの方を掴まれて後ろの方へ投げられた。飛んできた中也を芥川と立原、梶井が取り押さえる。

「ちょっとなめてた。Aちゃんがこんなになるとは……」

首領は頭を抱えた。

「も……くる…しぃっ…」

きゅっと首領の服の裾を引っ張ると首領は目を見開いてこちらに手を伸ばした。

「首領」

立原の低い声でハッとした首領の手は私に触れる前に虚空を切る。
中也がバッとすごい力で3人を払いのけ、私の元へ来た。

「苦しいよな?」

私は頷く。涙で視界が歪んでよく見えない。

「楽にしてやる」

グッと私を抱きかかえ中也はそのまま首領の部屋を後にする。

「中也君!」

首領の鋭い声が後ろで聞こえた。

「言っただろ、ゲーム中は首領も幹部も、端っこの方の構成員だって関係ねェ。公平に争った結果、俺がAを奪う…それだけだ」

ゲームに負けるのは太宰相手だけで十分だ、と中也は嘯いた。

「手に入れられないなら、逃げられないように、奪われないように閉じ込めて仕舞えばいい」

赤く熱い私の身体を抱え上げて、中也は妖艶に微笑んだ。

可愛いは要らない【江戸川乱歩】→←愛は遊戯で奪うもの【梶井基次郎】



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赤羽 - 最高!続きいつまでも待ってます、、二千年後も (2月23日 17時) (レス) @page25 id: 462520c403 (このIDを非表示/違反報告)
りお - 加藤めっちゃ人気やな…良かったな加藤☆ (6月13日 20時) (レス) @page25 id: 277740fe28 (このIDを非表示/違反報告)
るりら - 最高 (2022年12月25日 16時) (レス) @page7 id: db0aaa71fc (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - 加藤ー!安吾よ。((後何言うんだっけ?あれ? (2022年3月10日 21時) (レス) @page25 id: e165a9ec89 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花 - 推していても推していなくても、全てのキャラがかっこいい…素敵な作品、ありがとうございます! (2022年1月22日 13時) (レス) @page25 id: 4b25a88413 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しぐれった | 作成日時:2019年7月7日 14時

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