四十三羽 ページ43
早朝、目を開けると鶴丸さんがいた。
(あぁ、寝てしまったのね)
抱きしめられているその腕からそっと抜け出し、寝間着からいつもの服へと着替えた。
新しい服を着なかったのは審神者への少しの抵抗。
「衣擦れの音で目が覚めるというのも乙なもんだな」
「起こしてしまってすみません」
障子越しの朝日を浴びる布団の上でこちらを見てほほ笑む白い彼はやはり美しい。
「いやいい。俺こそ先に寝てしまって悪かったな」
「いえいえ、出陣が多かったですもの。疲れはとれましたか？」
「あぁ！ばっちりだ！」
良かったです、と言いながら布団を片し、審神者を起こすために部屋を出た。
ｽﾊﾟﾝｯ！といい音を立てて障子を開けて部屋の中を見ると布団の中で眉間にしわを寄せる鈴城。
「鈴城さま、朝でございます。起きてください。朝10時から審神者会議ですよ」
一息でいうと目を開いた。
「おはよう。今日は話があるから朝餉はここね」
はい、と言って食膳をもらいに厨へ向かおうとすると腕を引かれ体勢を崩した。
頭と腰を打った。痛い。
「何をなさいますか」
「昨日の夜どこ行ったの？」
腕をつかまれ、畳に組み敷かれ、あごをつかまれ問われた。
「自室ですが」
「僕が許可を出さなかったのに？」
「聞いてません」
「悪い子だ」
その冷たい声と共に降ってきたのは拳だった。
視界がブレて殴られた頬が熱くなる。
「それに、新しい服を着てと言ったよね？なのに何で古いのを着ているの？」
近くの机からはさみを持ち、着物を切り裂かれた。
「あぁ、もうこれは着れないね。
さぁ、朝餉の準備はするから着替えておいで。今日は桜の奴を着てね」
部屋を出て行った鈴城だったが、その体勢のまま動けなかった。
たった数分で何故こんな事に。
殴られた左頬に触ると熱を持っていて、左目から涙が出てきた。
歯を食いしばって立ち上がり、廊下に誰もいないことを確認して自室へと滑り込んだ。
ボロ布と化した着物を脱いで桜の着物を着付ける。
腫れた頬も、胸の奥底も痛い。
なぜこんな事ばかりなのか、人間とはこれ程に醜い生き物だったのだろうか。
「時間があったら江雪さんに仏の教えを説いて頂こう」
神気で頬の腫れを隠し、姿見に写る物悲しげな表情を浮かべる自分に「笑顔の仮面を」と言い聞かせる。
そして笑顔の仮面を貼り付けて広間に向かう。
彼奴の言う事なんざ聞いてやるものか。
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静原レン(プロフ) - そこの本丸の審神者二人ともいいですかねぇ？やっちゃってぇ？ (2018年5月14日 18時) (
レス) id: 055681bc4f (このIDを非表示/違反報告)
お鶴 - 続きが気になる！ (2017年9月30日 22時) (レス) id: 0c420347ac (このIDを非表示/違反報告)
匡(プロフ) - 早く鶴さんと幸せになって欲しい(´･ω･`) (2017年9月30日 22時) (レス) id: 883bce3052 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと - おもしろいです!更新頑張ってください！(*^-^*) (2017年9月30日 19時) (レス) id: f8ef116a38 (このIDを非表示/違反報告)
かめ☆ピス(プロフ) - 姫鶴ちゃん、頑張って！！きっと大丈夫ですよね！続きにとっても期待してます！頑張ってください！鈴城め！恨んでやるー！(`´) (2017年8月14日 21時) (レス) id: 7fd7f882ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭兎 | 作成日時：2017年2月23日 2時
