十七羽 ページ17
鎌倉時代に打たれ、刀匠である父の想いからすぐに付喪神として意思を持った。
そしてお父様の手から離れ様々な人の手を渡り、上杉家に来た。
そこで一度は擦り上げを回避したが、時代が変わり、主が変わり、また擦り上げの依頼をした主がいた。
その時も砥師や主や腰元の夢枕に立って擦り上げしないように懇願したが聞き入れてもらえず、擦り上げされた。
文字通り、身を削る痛みだった。
何度も悲鳴を上げた。
それこそ声が出なくなるまで。
あのような痛みはもう経験したくない。というのが素直な意見だ。
審神者と言えど所詮は私たちより神席では位の低い人間。
この身を弄らせるなんて絶対に嫌だ。
主の部屋を出てひたすら廊下を歩く。
物として扱われる怒り、記憶にある痛みへの恐怖、戦いの後の疲労から考えがまとまらない。
頭でも冷やそうと梯子から屋根の上に上る。
夕暮れ時の朱に染まる空が美しかった。
「お？なんだ、こんな所にいたのか！」
声に振り替えるとそこには鶴丸がいた。
えぇ、と軽く返事をして沈む夕日を見る。
隣に座った鶴丸が顔を覗き込んできた。
「顔色が悪い。何があった」
はしゃぐ時の声ではなく、真剣に何かを探るような声の様子にいたたまれなくなった。
「なんでも、ないですよ」
「その笑顔は嫌いだ」
「あら、悲しい」
「笑顔の仮面なんてやめた方がいい。そら、これでどうだ！！」
目の前に一枝の白い椿が差し出された。
「手折ってきてくれたんですか？」
「あぁ、俺のように白いだろう？部屋に飾って俺の驚きを思い出すようにな」
少年のように無邪気な笑みを見せられてはつられて笑ってしまうもの。
深く聞いてこないその気遣いがしみる。
ありがとう、とつぶやいて花を受け取る。
香りのしない花だが、その花弁の美しい事。
「さぁ、そろそろ冷えてくる。戻ろう」
すっかり日が沈んで、厨の方からいい匂いがしてくる。
昼の余韻に星が出てきた。
「今日の夕飯は何だろうな」
「準備忘れてた！！
鶴丸さん、ありがとうございました」
走って自室に戻って花瓶にもらった白椿を活けて
部屋を出る間際にもう一度花を見てから厨へと向かった。
この花の意味を私は知らなかった。
「遅れました！手伝います！」
「お鶴ちゃんいいことあった？」
「えへへへ」
光忠いわく、その顔はいつもより優しい笑顔だったという。
―――白椿の花ことば：最高の愛らしさ―――
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静原レン(プロフ) - そこの本丸の審神者二人ともいいですかねぇ？やっちゃってぇ？ (2018年5月14日 18時) (
レス) id: 055681bc4f (このIDを非表示/違反報告)
お鶴 - 続きが気になる！ (2017年9月30日 22時) (レス) id: 0c420347ac (このIDを非表示/違反報告)
匡(プロフ) - 早く鶴さんと幸せになって欲しい(´･ω･`) (2017年9月30日 22時) (レス) id: 883bce3052 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと - おもしろいです!更新頑張ってください！(*^-^*) (2017年9月30日 19時) (レス) id: f8ef116a38 (このIDを非表示/違反報告)
かめ☆ピス(プロフ) - 姫鶴ちゃん、頑張って！！きっと大丈夫ですよね！続きにとっても期待してます！頑張ってください！鈴城め！恨んでやるー！(`´) (2017年8月14日 21時) (レス) id: 7fd7f882ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭兎 | 作成日時：2017年2月23日 2時
