優しい雨 ページ10
空っぽになった心が、どんどん暖かいモノで満ちていく。
あたしは心から溢れたモノが涙になるんだと初めて知った。
だって、心が空っぽの時は全然泣けなかったのに
今は暖かい涙がボロボロ溢れるから。
「……ふざけんなよ。」
けれど、蘭丸の言葉で涙が止まった。
蘭丸の言葉は、あたしが見たなかで一番怒りに満ちていたから。
あたしは怖くて動けなかった。
蘭丸の気迫と、嫌われる事への恐怖。
嫌われたくてこんな事したのに、それでも怖かった。
「愛する資格も、愛される資格も無い？
じゃあ、俺はAを愛したり、愛されたりする資格も無いのか？」
違う。
蘭丸は、あたし以外と自由に愛し合っていい。
あたしが縛りつける権限なんて、どこにもない……。
「散々自分の事責めてたけど、あれしか方法は無かった。
吸血殺しが流れる中で他の奴に頼れる可能性は無いし、剣城に剣を借りる時間は無かった。
それに、吸血鬼にとって普通の刃物は意識を奪う程の威力はない。
Aが、迷わず決断してくれたから、俺はこうして生きてられる。
Aは、俺を助けてくれた。」
蘭丸の声が、徐々に優しくなっていく。
あたしは震える声で、聞いた。
「……本当に、あたしは蘭丸を助けられた？」
蘭丸はあたしの問いに頷いてから、耳元で囁いた。
「…ありがとう。」
その言葉は、聞き覚えがあった。
あたしが蘭丸を刺した時。
蘭丸が目を閉じる前に言ってくれた言葉だった。
「……だから、もう離れるな。
俺は、Aが居ないと生きていけない。
Aが必要なんだよ。」
蘭丸の切ない声に、あたしの心の糸が緩んだ。
「蘭丸っ……蘭丸っ!!!!」
蘭丸は、あたしを必要としてくれている。
こんなあたしでも、受け入れてくれる。
蘭丸に愛される事が幸せ過ぎて、あたしは今までで一番泣いた。
蘭丸はあたしを包み込むように、涙を優しい雨で隠してくれるようにそっと抱きしめてくれた。
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千桜(プロフ) - Nakamahina0805 (2019年6月12日 20時) (
レス) id: 0d6cf0666b (このIDを非表示/違反報告)
ユッカ - ものすっごく感動しました！！すっごく好きです// (2014年1月7日 9時) (レス) id: 042c3de7ef (このIDを非表示/違反報告)
*ももらんま* - 続編希望です！！この小説すごく好きです///萌えてます///続編まってます(^^) (2013年9月7日 14時) (レス) id: a263b771fc (このIDを非表示/違反報告)
闇猫(プロフ) - 遅いかもしれないけどLINEIDです。yamineko1026です！良かったらいれてください！LINEの名前は蓮藍@厨二病@奈月です (2013年8月31日 20時) (レス) id: 3e9341991a (このIDを非表示/違反報告)
藍苺(プロフ) - 初めまして！！続編読みたいです！！失礼ですが、番外編の続編も読みたいです！！ (2013年8月1日 0時) (レス) id: 45daca7612 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬令瑠菜 | 作者ホームページ：http://ameblo.jp/runarunaterulove/
作成日時：2013年3月28日 18時
