溢れる思い ページ9
あたしは竹刀を放り、右手で刀を掴んだ。
更に震えが出ないように、しっかり左手で支える。
刀を突きつけられても、蘭丸の表情は、真剣なまま変わらなかった。
むしろ、眼差しは真っ直ぐあたしを貫いていた。
涙が出ないように、刀を落とさないように気を張っていた時、蘭丸が口を開いた。
「……本気で言ってる？」
「………本気だ。」
なるべく短く言葉を返し、再び自分の甘えを押さえつけようとした時。
急に蘭丸が腕を引いてきた。
刀の切っ先が
丁度肩に刺さるように。
「ダメッ!!!!」
あたしは咄嗟に刀を放し、刀は肩につくギリギリの所で地面に落ちた。
拍動がゆっくり減速していくにつれ、自分の策が失敗した事に気付く。
「…っ。」
刀を拾おうとした所で、蘭丸に手首を掴まれた。
「……離してよ。」
「嫌だ。」
「離してよっ!!」
あたしの中で、甘えとけじめがもみくちゃになって溢れるのを感じた。
「ダメなんだ!!
あたしが蘭丸の傍にいたら、また蘭丸は傷つく。
あの時だって、もっと方法はあった!!
白竜に『回復』を頼めたかもしれないし、
フェイにプレッシャーをかけてれば対策位教えてくれたかもしれない。
攻撃にしたって、もっと安全な術があっただろうし、
最悪斬るにしたって、剣城に普通の剣を借りればよかった!!
あの時は全部考えてたなんて言ってたけど、そんな事ない。
斬る事しか考えて無かった。
優一さんや白竜が回復してくれなかったら、蘭丸は死んでた!!
それをさも計画してたみたいに言い訳して、あたしは責任を逃れようとした。
あたしは、フェイと何も変わらない。
恋人を傷つけて、皆を巻き込んだ。
あたしは、誰かを愛する資格も、愛される資格も無い!!!!」
心に渦巻いてたもやを、一気に吐き出した。
そのせいか、心が空っぽになったように感じる。
半ば放心状態になっていると、心に何かが満ちてきた。
暖かい………。
気がつけば、あたしは蘭丸に抱きしめられていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 110人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
千桜(プロフ) - Nakamahina0805 (2019年6月12日 20時) (
レス) id: 0d6cf0666b (このIDを非表示/違反報告)
ユッカ - ものすっごく感動しました！！すっごく好きです// (2014年1月7日 9時) (レス) id: 042c3de7ef (このIDを非表示/違反報告)
*ももらんま* - 続編希望です！！この小説すごく好きです///萌えてます///続編まってます(^^) (2013年9月7日 14時) (レス) id: a263b771fc (このIDを非表示/違反報告)
闇猫(プロフ) - 遅いかもしれないけどLINEIDです。yamineko1026です！良かったらいれてください！LINEの名前は蓮藍@厨二病@奈月です (2013年8月31日 20時) (レス) id: 3e9341991a (このIDを非表示/違反報告)
藍苺(プロフ) - 初めまして！！続編読みたいです！！失礼ですが、番外編の続編も読みたいです！！ (2013年8月1日 0時) (レス) id: 45daca7612 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瀬令瑠菜 | 作者ホームページ：http://ameblo.jp/runarunaterulove/
作成日時：2013年3月28日 18時
