番外編7 ページ43
「っ、はぁ……」
私は満足してから井吹から口を離した。
私を抱き締めていた腕から力が抜け、代わりに私が井吹を抱きとめる。
「ごめん……大丈夫か？」
「あ、あぁ……。」
井吹の顔は血の気がないはずなのに何故か赤く見えた。
だいぶ落ち着いてから、井吹は私のことを真っ直ぐな目で見た。
「……霧野、お前って……」
私は隠しもせず、こくりと頷いた。
「……私、吸血鬼だから。」
その時、井吹がどんな顔をしたかなんて見れてない。
真っ直ぐな目が、突き刺さるように痛かったから。
見ていられなくて私は顔を伏せた。
「……ホントは、ずっと隠していたかった。
皆に……井吹に、バレるのが怖かった。」
体の震えが止まらない。
どんな厳しい稽古でも、こんなに震えたことなんてないのに。
「私、今までずっと吸血鬼は偉いんだって、人間に出来ないことを沢山できるんだって思ってた。
……けれど、違うんだね。
私は、幾らでも人を傷つけられる。
そんな、恐ろしい力を持ってたんだ。」
どうしてなんだろう。
今まで誇りに思っていた力が、急に怖くなる。
こうやって、人を簡単に弱らせる力。
多分、その原因は……
「……ごめん、井吹。」
私は力の入らない井吹にそっと顔を寄せた。
「こんな恐ろしいこと、忘れさせてあげる。
……大丈夫。私は今日でここを去るから。
記憶を無くしてもう一度襲うなんてしない。
……だから、今だけ許して。」
目を見開く井吹に
「…………好きだったよ。」
私は一度きりのキスをした。
触れるだけの、哀しいキス。
それだけで涙があふれる。
私、気づかない間に、こんなに井吹を好きになってたんだ。
いつも張り合って、文句ばっかりつけて。
それでもこんなに優しくしてくれる……
口を離すと、私はゆっくり口を開いた。
吸血鬼の、催眠術を使うために。
「……眠って。
そして、私のことを忘れて……」
いいかけたところで
「んっ……!?」
私の唇が、井吹に塞がれた。
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千桜(プロフ) - Nakamahina0805 (2019年6月12日 20時) (
レス) id: 0d6cf0666b (このIDを非表示/違反報告)
ユッカ - ものすっごく感動しました！！すっごく好きです// (2014年1月7日 9時) (レス) id: 042c3de7ef (このIDを非表示/違反報告)
*ももらんま* - 続編希望です！！この小説すごく好きです///萌えてます///続編まってます(^^) (2013年9月7日 14時) (レス) id: a263b771fc (このIDを非表示/違反報告)
闇猫(プロフ) - 遅いかもしれないけどLINEIDです。yamineko1026です！良かったらいれてください！LINEの名前は蓮藍@厨二病@奈月です (2013年8月31日 20時) (レス) id: 3e9341991a (このIDを非表示/違反報告)
藍苺(プロフ) - 初めまして！！続編読みたいです！！失礼ですが、番外編の続編も読みたいです！！ (2013年8月1日 0時) (レス) id: 45daca7612 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬令瑠菜 | 作者ホームページ：http://ameblo.jp/runarunaterulove/
作成日時：2013年3月28日 18時
