番外編3 ページ38
「なにしてんだ？」
低い声に背筋が凍る。
恐る恐る振り返って見れば、高い人影。
「井吹…………？」
なんで。
術は体育館にいた全員にかけたはず。
術を打ち消してしまうシュウのバリアを纏ったエミリ以外皆従う筈なのに。
井吹、もしかして……
思わず聞きそうになったその時、井吹は周りを見渡した。
「トイレに行ってる間に皆もう帰ったのか？
なんで霧野だけ残ってる。」
井吹の声に、思わず肩を落としてしまう。
……トイレまでは流石に範囲に入れてなかった。
てっきり吸血鬼とか聖獣使いかと……
それにしても、どう誤魔化すべきか。
適当な事を言って、術にかかった人達と食い違いが起きるのは面倒だから。
頭を悩ませていると、井吹がキョトンとした顔になった。
「何をそんなに悩んでいる？
シュートが入らないから練習しようとしただけだろ？」
井吹の答えに、私の方がキョトンとしそうになる。
勿論、間違ってはいないが、それだけで授業をサボるのを納得する井吹もどうかと思う。
「一人で練習しても意味ないだろ？
俺がみててやる。」
井吹はいい放ってから威圧的に腕を組んだ。
その態度はムカつくけど、見てもらった方がいいかもしれない。
自分で分からないこともあるかもしれないし、井吹はバスケのエース。
癪に触るものの、ゴールが入らない方が我慢ならない。
「……じゃあ、いくよ。」
私は膝を曲げ、力を目一杯抑えて放つ。
ボールはいつも通り、惜しいとは言えない位置に飛んでいった。
「なんで……っ。」
力んでるわけでも、狙ってないわけでもないのに。
悔しくてゴールを睨むと。
「バカ、違う。」
「わ…………っ!?」
急に背後から抱きしめられた……わけではなく。
後ろから井吹が私の腕を支えていた。
「お前、力抑えようとして逆に力んでんだろ。
力抜いて放てよ。」
「う、うん……」
びくともしない腕や、耳元で囁かれる低い声をこんなに近くに感じたことがなくて、心臓の鼓動が速い。
井吹に言われるまま、力を抜いてシュートを打つ。
滅茶苦茶な飛距離になると思いきや、意外と綺麗な弧を描く。
「わ…………！」
ボールは初めてネットを通り、体育館の床に落ちた。
「……は、いった……!!」
「な？」
「ありがと、井吹！」
私は嬉しくて、思わず素直になってしまう。
「……ん。」
井吹は軽くほほえんで、私の頭に手を置いた。
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千桜(プロフ) - Nakamahina0805 (2019年6月12日 20時) (
レス) id: 0d6cf0666b (このIDを非表示/違反報告)
ユッカ - ものすっごく感動しました！！すっごく好きです// (2014年1月7日 9時) (レス) id: 042c3de7ef (このIDを非表示/違反報告)
*ももらんま* - 続編希望です！！この小説すごく好きです///萌えてます///続編まってます(^^) (2013年9月7日 14時) (レス) id: a263b771fc (このIDを非表示/違反報告)
闇猫(プロフ) - 遅いかもしれないけどLINEIDです。yamineko1026です！良かったらいれてください！LINEの名前は蓮藍@厨二病@奈月です (2013年8月31日 20時) (レス) id: 3e9341991a (このIDを非表示/違反報告)
藍苺(プロフ) - 初めまして！！続編読みたいです！！失礼ですが、番外編の続編も読みたいです！！ (2013年8月1日 0時) (レス) id: 45daca7612 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬令瑠菜 | 作者ホームページ：http://ameblo.jp/runarunaterulove/
作成日時：2013年3月28日 18時
