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熱い____
私の思考は、とにかくそれで埋め尽くされていた。
走馬燈が起こる暇と余裕さえ与えられず、私の生涯は、あっけなく幕を閉じた。
はずだった。
私の意識は、ただぼんやりと浮かぶように存在していた。
それはまるで、眠っているかのような感覚だった。
視界は開けていないのに、意識だけがそこにある。
死ぬ、という事を当然経験したことが無い私は、さして思考もせずにその状況に納得していた。
このまま、幽霊にでもなったりするのだろうか。
そんな事を思っていると、突然どこからともなく歌が聞こえ始めた。
音源など探れる筈も無く、不思議に思いながらも、その歌声に耳を傾ける。
単純に、美しいと感じた。
語彙力の無い私には、到底言葉にしきれないほどに、その歌声は超越していた。
綺麗で、透き通っている。歌声で水を連想させられたのは初めての事だった。
そして、どこか懐かしいような心地もする。
はて、何処で感じたものだったかと、生前の記憶を掘り起こしてみる。
___…あぁ、そうか。
何故、こんなにも美しいと感じたのか。何故、懐かしさを覚えたのか。
思い出した。これは、母の愛なのだ。
そこに、余計な感情は介入できない。ただ、純粋な愛情だけがそこにある。
そんな、子守歌だったのだ。
しばらく、歌に聞き入っていた。
こんな体なので眠る心配は無かったが、なぜ子守歌が聞こえてくるのかという謎は相変わらずだった。
そもそもこれは、私に向けられたものなのかすらわからない。
ついでに言うと、今自分が生きてるのか死んでるかも分からない。
ぶっちゃけ退屈だった。
暇を持て余していた頃、子守歌は、はたと聞こえなくなってしまった。
代わりのように、朗らかなトーンの話し声が聞こえる。
これが、私たちの子よ、あなた____
そんな言葉が聞こえたと思うと、不思議なことに、体がだんだんと温まり始めた。
心なしか、視界まで明るくなってきたように感じる。
そこで、気付いた。
もしかすると私は_____
俗にいう、転生ってやつをしているのではないかと。
そして、その予感は見事に的中する。が。
その瞬間、あまりにも予想外なことが起きた。
「よかった…無事に生まれてきてくれて…ね、あなた」
「ああ、これで、はこの代の悪魔族は安泰だな。」
…
……ゑ?
どうやら私は、とんでもない世界に転生したようです。
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カノ最高!!!!(プロフ) - らんくる番長さん» こちらこそ返信ありがとうございます!活動応援してますね! (2018年5月18日 2時) (レス) id: 88a4801eb5 (このIDを非表示/違反報告)
らんくる番長(プロフ) - カノ最高!!!!さん» コメントありがとうございます!嬉しいです。励みになります! (2018年5月16日 19時) (レス) id: 2c4ca24e11 (このIDを非表示/違反報告)
カノ最高!!!!(プロフ) - とても面白い展開ですね、僭越ながら更新心待ちにしてます (2018年5月15日 0時) (レス) id: 88a4801eb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らんくる番長 | 作成日時:2018年5月5日 21時