検索窓
今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:155 hit

3 ページ3

そんな善良な元騎士であるじいちゃんは、今から*年前まだ現役だった。赤子を抱いた女性が魔物に襲われている姿を見つけたらしい。駆け寄った時には既に遅し、女性は喰われてしまっていた。


心が痛みながら、その”女性”が完全に取り憑かれてしまう前に剣で心臓を突き刺した。

そして残った親を失った俺を哀れに思い、育てたのだと。


これが俺が今までじいちゃんから聞いていた内容だった、




……のだが、心臓を突き刺したそのあと。実は、魔物はもう一匹いた。



振り返った時には既に赤子は喰われていて、その真っ黒だった瞳は赤くなり黒い尻尾が小さく生えていた。
だが、自分を見つめる目があまりにも可愛くて殺すことはできずここまで育ててしまったのだ。と。


数日前、じいちゃんがやっと俺に教えてくれた話だ。


『真実を知ってしまえばお前は生きることを放棄しようとするんじゃないかと思い、恐ろしくて言えなかった。』



というじいちゃんに、


俺を殺してしまえば安泰に暮らしていけただろうにどこまで善良なのかと半心呆れてもしまった。


「じいちゃん

俺 これからどーすりゃいいんだよ…」


この本によると、魔物はその人間を喰うとその際のほんの微量たる悪心を大きく大きくふくらませることで思い通りに悪事に手を染まらせることができるようになる…つまり取り憑くことができると書いてある。


俺が魔物に取り憑かれた人間でありながら、心までも悪に染まっていないのはその際に悪心なんて微塵もない『赤子』だったからに過ぎないということだ。



だが、俺を喰った魔物は案外力が強かったようだ。







(あ、隠せた)



尻尾を、瞳の色を、隠すことができてしまった。

続く お気に入り登録で更新チェックしよう!

最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している



←2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
設定タグ:bl , 溺愛 , ファンタジー , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:らちょす | 作成日時:2023年1月14日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。