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ーーーーこの世界は絶対王政である。
国ごとに”王”の代わりとして存在し権力を持っているモノは多くいるが、王はそれらよりもずっと高い地位にあり、絶対的存在。
トップに君臨する”王”が起きているか、
寝ているかで『朝』か『夜』かが決まるこの世界は所謂”異世界”という。
つまりこの世界の全ては王のモノであり、常に監視されていてどんな悪事も許されない。
……そう、陽が昇っている時だけは。
全てを守り切るなんて、到底無理だ。どこかに必ず粗が出る。
だから王が寝てしまえば、陰に隠れていた魔物どもは一斉に動き出しここぞとばかりに悪事を働く。
なんて卑劣で卑怯な性、と思うだろう。
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魔物は善良な市民から生まれる悪の心や欲望が具現化して生まれたものだ。だから、皮肉にも市民は善良でいられるし、魔物は途絶えず姿を現す。
勿論、市民を守っているのは王だけではない為、毎日夜になれば各国に派遣された騎士たちが見張り魔物を退治してくれる。
そうしなければ、魔物の数が多くなりすぎるからだ。
魔物は結界が張られた家に入ることはできない為家から出なければ、基本的に被害に遭うことは無いのだがどの時代にも世界にも『愚者』はいる。
魔物は、そいつを喰うと人の身体を乗っ取ることができ日が昇っていても動くことが可能になる。
ーーー最近、王都から離れた国々ではコレが引き起こす事件が後を経たないらしい。
ただ、その存在の欠乏している所は、そうなってしまったニンゲンは瞳が赤くなり『悪魔』のような尻尾をもつということだ。
この魔物に取り憑かれた人間を暴くために、数百年前の王はある勅令を出した。よって各国ではそれから毎朝『魔物検査』が行われている。王が寄越した人々は、生きている証として登録された人名一人一人呼び上げ女も男も用意された個室に入ってしまえば、下着以外は全て脱がなければいけない。
そして年に数回は、他の個室から捕まってしまった哀れな魔物の断末魔の声が聞こえてくるという。
人間が溜めてしまった悪心が大きければ大きいほど魔物は力を増し、取り憑いた際にその赤い瞳も黒い尻尾も隠してしまうことができるとは聞いたが…これはあくまでもウワサだ。
もしそれが本当ならば、…この世はあまりにも恐ろしいではないか。
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作者名:らちょす | 作成日時:2023年1月14日 11時