marionette doll【霧隠ラント】

38，赤い ページ47

翌日、YSPクラブへの道を私は一人で歩いていた。
いつもはフブキと一緒に行くのだが…今日は、調べ物があったために、YSPクラブよりも先に図書室に来ていた。

…もちろんその調べ物というのは、昨日のラント君の事。図書室であれば、仮に生徒会を牛耳る者がいた場合…それについての記述ぐらいはあるだろう、と踏んでの行動だったのだが……残念ながら、そのような記述はどこにも無かった。

仕方がなく探すのを諦めて、私はYSPクラブへと向かった…という訳だ。
久しぶりに一人で歩いていると、迷いそうになってしまう。…そうだ、いつもはフブキに着いて行ってるし…それに、フブキと話してばかりで、辺りの景色なんて見てなかったな…。
──気を引き締めないと、本当に迷うかもしれない。

ぎゅっと目を瞑って、深呼吸した。
…よし、集中してYSPクラブに行こう！
そう思い、右に足を進めた。

「そっちは違うわよ」

ポンと肩に手を当てられ振り返る。少し呆れたような、でもどこか嬉しそうな声で話しかけてくれたのはフブキだった。

「フブキ！待っててくれたの？」

「A1人じゃ迷っちゃうかな〜と思って…それに、昨日のお礼も言いたかったしね」

…そうだ、ストーカーだ。…あれ？そう言えば、あの男どうなったの？

「あぁ……変なおじさんなら、さっき警察に連れていかれてたわよ。霧隠会長が警察の人と話してたけど……どうやらあのおじさんが、私のストーカーだったみたい…」

「そうなんだ…」

…どうも…霧隠会長、と言われると先程の調べ物が脳裏によぎる。…あの生徒会の上なんていたとしたら…それは一体どんな…

「……何かあった？」

考え込む私を見て、フブキはそう心配そうに聞いた。
何か…そうだ、昨日は車に轢かれかけたんだっけ。あれには参ったけれど、ラント君が助けてくれた……し……。

そこまで考えて、思い出した。
そうだ、昨日…おでこに……。

ボンッと音を立てて、昨日のように顔が赤くなるのがわかる。…熱い……。

「え…ほんとに何があったの！？」

「な、なななんでもない！！！！！」

轢かれかけた事も、言うつもりはなかったけれど……もっと、言えないようなことが出来てしまった……。
……どうしてくれんのよ、このおでこの熱…。

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