marionette doll【霧隠ラント】

17，新しい先輩 ページ21

昨日は、最後の最後に散々な目にあった。
…もう暫く、ラント君の顔は見られないかな……
あれだけ啖呵切った以上、今更弱気になんてなってられないけど……今彼を目の前にして、強気で牽制なんて、できる気がしない。

これから私、どうなっちゃうのかな…。
下を向いて歩いていたら、突然トンっと背中を押された。

「おはよう！」

「フブキ！おはよう！」

私を見つけて走ってきたようで、少し崩れた制服を直して彼女は微笑む。
フブキに出会ったら、さっきまで考えていた暗い思いは全部吹き飛んでしまった。
今日はこのままフブキに癒されていよう…なんて考えていたら、フブキからとんでもない爆弾が投下された。

「ねえ聞いた？エマさん、ジンペイ君のこと呼び出したらしいよ」

「え！？」

エマちゃん……決心するの早くない！？


…と、言うわけで……フブキに連れられ、予定地だという裏庭のベンチに隠れると…フブキと私の他に、もう既に観客が沢山集まっていた。

「あ、Aさん。フブキさん。おはよう」

小声でマタロウ君が挨拶してくれた。おはようと返すと、その横にいたサン太夫君からも、おはようと声が返ってきた。
ふと、視線を右にやると……右側にはメラ先輩…と、あともう1人。小声で喧嘩しながら、見に来ているらしい…？

「まさかあの寺刃ジンペイが…学園長の娘に呼び出されるなんて…ありえないあの男のどこに良さを見いだしたんだ…」

「それだけ兄貴がすげえやつってことだろ。黙ってろよ尻軽。」

「誰が尻軽だこのゴリラ！お前こそ、ただでさえ顔面がやかましいんだからな、静かに見てろよ｣

「顔面「だけ」が取り柄の女ったらしに言われたかねーよ！｣

……私が聞こえたのはここまでだったが…
仲が悪いのは、十分伝わってきた。凄いな、小声なのに迫力が違う…。しかし、あのメラ先輩と対等にやりあっているあの人は誰だろう……水色…ということは、芸能基準の先輩かな？

「フブキ…あの人って誰？」

「え？…あぁ、あの人は九尾リュウスケ先輩。
『イズナ』って名前の怨霊と合体して『ナインテイル』に変身できるんだけど…あんな感じでメラ先輩とは仲が悪いし、テニス部だからね。YSPクラブには入ってくれないの」

ちなみに、芸能基準で女子にモテモテみたい。と付け足すフブキ。確かに顔はかっこいいけど…横の喧嘩を見ちゃってるから…何とも言えない。

とりあえず喧嘩が止まってくれることを願っていると、ようやくエマちゃんの元に、ジンペイ君がやってきた。

18，結果→←【ma o et ll 】

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