marionette doll【霧隠ラント】

11，恋愛教室 ページ14

エマちゃんがジンペイ君を何故好きになったのか…その話を要約すると、どうやらジンペイ君はエマちゃんを助けてくれたらしい。
まさに、彼女にとっては──彼女のお父さん、学園長にとっても…ジンペイ君は命の恩人であり…エマちゃんからしてみれば、ジンペイ君はHERO…もしくは『王子様』なのだろう。

ジンペイ君の話をしている時のエマちゃんは、凄く楽しそうで…あぁ、本当に好きなんだなというのが、表情から伝わってきた。応援してあげたい恋とは、こういうものを言うのだろう。

「…と、言うわけで……出来れば告白したいのですが…お恥ずかしいことに、私は男性のことをよく知らないので…教えてください！どうすれば、私はジンペイさんと…お、おつ…お付き合い…できますか…？」

照れながらそう問かけるエマちゃんは、本っ当に可愛かった。写真に収めて永久保存したいくらいには。
質問されている以上、何かしら解決策を出すのが筋なのだとは思うが…正直、私──恐らく隣のフブキちゃんも、思っているのはただ一つ。

『そのままで十分。お付き合いできます。』

こんな可愛い子に告白されて、断る男がどこにいる。

…しかし、その回答は幾分ナンセンスだ。
できることなら、彼女の恋を全力サポートしてあげたい。
と、言うことで…それから、私とフブキちゃんによる
告白セリフ講座が始まった。

全てを紹介すると長くなるので(昼休みだけでは終わらず、放課後までかかった)、切り取って説明すると…

Q，1⇒「付き合ってください」
A，1⇒「いいぞー！どこに？で終わる可能性大」

Q，2⇒「好きです」
A， 2⇒「LIKEかLOVEで食い違う可能性大」

Q，3⇒「傍に居てください」
A， 3⇒「(エマ)プロポーズじゃないですか！」

…と、こんな感じで…指定したセリフを照れながら読むエマちゃんが可愛くて、後半は若干ふざけたりもしたが…結果的に、告白の言葉は無難に「出会った時から好きでした。私とお付き合いしてください」に決まった。

「お付き合い頂き、ありがとうございました！…これを練習して…あとは、本番に望むまでですね！」

「頑張ってね！…唯一の心配は…エマさんが本番噛まないかかなぁ？｣

「か、噛みませんよ！練習しますもん｣

からかうようなフブキちゃんに、ぷくぅっと頬を膨らませて反論するエマちゃん。
…なるほどここが桃源郷だったのか。と、1人でニヤニヤしながら可愛い2人を眺めていると、チャイムの音が鳴り響いた。

12，雪解け→←10，愛娘

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す