marionette doll【霧隠ラント】

3，YSPクラブ ページ6

放課後、廊下を歩いていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。その声を頼りに歩いていくと…そこには、YSPクラブと書かれた教室が。
…さっきの声、ジンペイ君だったような…彼自身もYSP基準入学だし…こっちでもYSPなんて、何かありそうだな、なんて思いながら教室の前にいると…

「ってなわけで、オレのクラスの転校生、超いい子だったぜ！！」

「優しそうな子でだったし…流石芸能基準。すっごい可愛い子だった…」

「へぇー！！ちょっと会ってみたいなぁ…」

「マタロウ君がいうと、ちょっと違う意味にも聞こえるけど…でも、私も話してみたいな！」

「お前、せめてそのテンションでいきなりガジェットの話振るのはやめてやれよ…。」

……私の話…？
最初のはジンペイ君だよね。
…二人目は、私の顔を知ってるみたいだし、同じクラスの子かな。
三人目は、マタロウ君？っていう子かな。多分…クラスは違う。
四人目は女の子の声。ハキハキしてて、可愛い声だなぁ…。
五人目は、多分先輩かな…？話し方もそうだし…声も、最初の三人と比べてだいぶ低い。

…全然系統が違いそうな五人だけど…YSPって、何のことなんだろう…？

「でもさー…そろそろ、対策も考えなくちゃなー…」

「そうだね……このままじゃ、廃部にされちゃうよ…」

「なんとかして、あの人に納得させないと！」

「…『 』先輩って、普段はどんな感じの人なんですか？」

「普段からあんな感じだよ。『 』は」

ドアの向こうから聞こえてきた名前に、私は自分の耳を疑った。
…なんとなく、聞いてはいた。そういう人なのだ…いや、そういう人になってしまったのだ、と私自身納得…気持ちに一区切りはつけていたのだが…。
やっぱり、その悪評を目の当たりにすると…
構えていて、分かっていたことでも…少し、ショックだ。

仕方がないことだ、と一旦心を落ち着かせて、私はYSPクラブのドアを叩いた。

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