恋の歌

＊ ページ44

すば子side





なんと、新入生が3人も入ってくれた。





村子と2人でやるのは、賭けやった。


もうこれで誰も入んないならやめよって。





でもよかった、入ってくれて。






軽く自己紹介をして、最初の音合わせをする。






うん、いい感じ。みんな楽しそうやし、いい雰囲気なんちゃう？









うちは、軽音部に誰か入ってくれたら、どうしてもやりたいことがあった。





それは、村子とヨコを2人きりで帰らせてあげること。




あの2人、うちに気使って、3人で帰ろ言うねん！





この前1人で帰れるって言うたら、





「あかん！そう言って、あんた変なのに好かれるんやから、なんかあったらどうすんねん！！」





と村子に親のようなことを言われてしまった。







小さいころ、うちはなぜか、ストーカーとか露出魔とか、変なやつに好かれた。




それを知ってる村子とヨコは心配してくれているのだろう。





そんなことがあってから、1人にしないでいつも一緒に帰ってくれる。





嬉しいけど、うちは2人で帰るとこが見たいねん！！





うちが部活終わりに一緒に帰れる人さえおれば、2人で帰れるんちゃうかなって。





「ま、丸子！一緒に帰らん？村子、彼氏と帰んねん！」.



ととりあえず女子の丸子を誘う。




丸子は人が良くて、人見知りのうちでも話しかけやすかった。





村子がはあ！？って言ってた気するけど気にしない。





「ええですよー！家どっちなんですか？」




「あっち。」




「…先輩、それこいつ逆方向っすよ。」




丸子が言う前に、大倉が答えた。




「えぇー、そうなん。」




どうしよ。頼みの綱の丸子が。





「ご、ごめんなさい、誰かと帰らんといけへんとかありました？」




と丸子が聞いてきた。





とりあえず事情を話せば、




「ほぇー、すば子ちゃんかわええもんなあ。」




「丸子と違ってな。」




「はぁ！？」




と痴話喧嘩が始まった。





まだ会って間もないが、2人はこういう事がよくあるらしい。





ふと思い出したように、大倉が口を開いた。





「あ、亮ちゃんならおんなじ方向やで。」






「ほんまに！ちょっと頼んでくる！」





錦戸に頼みに行けば、即座にオッケーしてくれた。





その時顔赤かったけど、風邪なんかな。






錦戸は家まで送ってくれた。優しいやんな。





このことがきっかけで、うちと亮と仲良くなっていったのだ。

＊→←馴れ初め (黄赤)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す