恋の歌

酔っ払い (橙青) ページ31

隆平side

ぼくはぐすぐす泣いてる章ちゃんの手を引きながら廊下を歩いて、部屋に向かった。

周りのお客さんの目がめっちゃ冷たかったのは気づかなかったことにしとく。

部屋について、とりあえず章ちゃんを座らせて、飲み物を渡した。
飲み物のんだら落ち着く言うしな！

「…まるは私のこと好き？」

「うん、好きやで」

章ちゃんをこれ以上泣かせないように、なるべく優しくいった。

「…じ、じゃあお願い事していい？」

お願い事？なんやろ？なに言われるんやろ？
でも、彼女のお願い叶えてあげるのが彼氏の役目ってもんや！

男、隆平。頑張んで！！

「もちろん！ええよ！どんとこい！」

自信満々にそう言えば、涙目のまま章ちゃんがぼくの手を掴む。

「…ぎゅってして？」

「ぅええ！？」

なんでも受け止めてあげるつもりやったけど、これは予想外やった。
てっきりなんか買ってきてとかそういうお願いかなって。

そう思ってたのに。
なにその、かわいいお願い。

「う、ほらあーー、好きって言うたのにしてくれへんやんかあ！まるのばかあーー！」

かわいすぎて、ぼくが照れてしまい、返答に戸惑っていたら、うわーんと子供みたく泣き出す章ちゃん。

「いやいや、ちゃうねんって。あまりにもかわいいお願いやったからびっくりしたんやって。」

「…ほんま？」

「ほんまほんま！じゃあぎゅってするで？」

「うん！」

章ちゃんをぎゅっと抱きしめれば、えへへ、と嬉しそうな声が聞こえた。

酔ってるとはいえ、かわいすぎひんかな！？

「なあー、まるーー。まるー。」

章ちゃんが何度もニコニコしながら、ぼくの名前を呼ぶ。
それがまた可愛くて、ぼくも何度も返事する。


しばらくすると、その声が聞こえなくなって、すぅと寝息が聞こえた。

え、このままで寝たん！？

「章ちゃーん？」

ふにゃふにゃ笑いながら、気持ちよさそうに寝てる章ちゃん。

…完全に寝とるなあ。ほんまかわいらしいわ。

ひいてある布団に章ちゃんを運んで、ぼくも隣にひいた布団で寝る。

今日は楽しかったなあ。横山くんには感謝しないと。

そう今日1日を思い出しながら、隣の布団にいる章ちゃんをみた。

…幸せそうな顔しちゃって。

「んん…まる…」

ポツリと章ちゃんがぼくの名前を呼んだ。
起きたのかと思えば、寝言だったみたいだ。

寝ている時にもぼくのこと考えてくれてるんかな。
そう思うと嬉しくて、今日はぐっすり寝れそうや。



夢の中でも君のそばにいれたら、なんて。

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