恋の歌

登校 (黒紫) ページ2

裕side

「ほら朝やで！起き！！」

朝から俺を呼ぶ声が聞こえる。

朝から元気やなあなんて思いながら目を開ける。
目を開けると愛しの彼女の顔が見える。

「はよ…村子…」

まだ働かない頭で寝ぼけながら挨拶する。
すると村子はむっとした顔になる。

「はよ起きんと遅刻すんで、置いてってもええの？」

ごめん、今準備するわーと村子に声をかけて部屋からとりあえず出てもらう。

あんなこと言いつつもなんだかんだ待っててくれる優しい子なのだ。

幼馴染で彼女である村子は寝起きの悪いおれを起こしに家まで来てくれる。
ラノベみたいやろ？
そんな朝が楽しみなんて言えば、あほなこと言うなって怒られそうだけれど。

おれの準備が整えばあとは登校するだけだ。
彼氏彼女の登校らしくないような世間話や今日のテストの話をして学校まで行く。

最初こそ手をつなごうとかしていたけれど、お互いはずかしくなってしまって学校どころではないし、おれも村子も相手が側にいるだけでいいのだ。
だから周りにも夫婦だなんて呼ばれてしまうのだろうけど。


まあ、でもたまには恋人らしいこともなんて。


「なあ、村子。」

「んー？」

「あ、愛してる…で…」

村子は目を見開いて驚いた顔をしていたが、数秒後、ぶはっとふきだした。
おれの必死の言葉やったのに。


「なんで笑うん！？」

「ははは、いや、あんた自分の顔見てみ？顔真っ赤やで！！」

まじかいな、おれ、かっこよく決めたつもりやったのに…と少し落ち込んでいたら村子に声をかけられる。


「なあ、ヨコ。うちも愛してるで。」

なんてきれいな顔して言うから、おれは顔を背けてうん…なんてかっこ悪い返事をした。

おれはどうやら彼女には敵わないらしい。

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