ヒロインにはなれない (ページ25)

今日:6 hit、昨日:154 hit、合計:79,221 hit

25 ページ25

・

その後、深田が全部持ってくれて、私がトイレでメイクを直している間に屋上に運んでくれてて、屋上に戻ると、みんないつも通りに接してくれた。

授業がすべて終わり、帰りの準備をしていると、

「A今日暇？みんなでカラオケ行こうってなってんだけど」

湧が隣から言ってきた。

「暇っちゃ暇。誰々行くの？」

「俺と檜山とみゆと、あとー黒ちゃん」

いつもなら即答で行ってたけど、今は彼の顔を見ると泣いてしまう気がした。

「あー待って今日用事あったんだった笑」

「そっか、また誘うわ！」

あれ、？いつもなら無理やりでも行かせようとする湧が諦めが早い。

用意もできて帰ろうとしたとき、

「えー今日Aカラオケ来ないのー？」

いつの間にかこっちに来ていた黒ちゃんに声をかけられた。

「今日A用事があるから笑」

な笑？って湧に言われて、頷いた。

「えーA来てほしかったなぁあの曲Aに聴いてほしかった」

「俺らが聴いてやるから笑」

「違うAと歌いたいの！」

なにそれ、友達なら友達なりの態度で接してよ。

「じゃあ帰るね。」

二人にバイバイをしてドアのほうに向かおうとした時、

「待って、」

黒ちゃんに腕をつかまれた。

「なに、？笑ちょっと急いでるんだけど」

「どうした、？今日なんかいつもと違うくない？」

気づかなくていい変化には気づくのに私の気持ちには気づいてくれないんだ、そう思っていると、

「黒ちゃん、A急いでっから」

湧が助け舟を出してくれたのにも関わらず、

「なんかあったら、言ってね、？心配だから」

「それって、黒ちゃんに言わないといけない？」

「え、？」

「黒ちゃんには言いたくない。」

「それどういう意味？」

「おい、光輝」

近くにいた檜山も止めに入ってるのに黒ちゃんは一向に腕を離してくれない。

「とりあえず、腕離してくれない？」

「Aさっきのどういう「黒ちゃんには、話したくないだけ」

平然でいようと思ったのに、感情をコントロールできず、つい、きつく言ってしまった。

「あっそ、」

黒ちゃんは見たことのない冷めた目で腕を離した。

友達だった私のポジションは今の一瞬で嫌いに降格した気がした。

その日以降、黒ちゃんとは高1のころのようにしゃべらなくなった。