ヒロインにはなれない (ページ24)

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目の前に落ちているペットボトルを拾おうとしたとき、前から足音が聞こえて、今の惨めな姿を誰にも見られたくなく俯いた。

「はい。一人じゃやっぱ大変だったよな笑」

「深田、」

顔を上げると、少し汗ばんで肩で息をしている深田がいた。

「なんで、？」

「A一人じゃ持てないって思って、ついていこうとしたんだけど」

お前早すぎって笑いながら深田がしゃがんで座っている私と目線を合わせた。

「だから言ったじゃん。元陸部って、それに、」

もうあの場にはいたくなかった。また思い出して泣きそうになると、

「誰も見てないから」

そういうと、深田に抱きしめられた。

ずっと堪えていたはずの涙が一気に頬を伝った。

「ごめん、」

ある程度して、涙も止まり深田のカーディガンを濡らしてしまったことに気づいた。

「ううん。いいよAが辛いときいつでも俺駆けつけるよ」

カーディガンの袖で私の涙をぬぐいながら言われた。

「ありがと、」

深田の優しさにまた目が潤んだ

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