ヒロインにはなれない (ページ23)

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「やっと終わった」

4時間目のチャイムと共に湧が叫んだ。

「今日時間割終わってるよね笑」

「マジでそれ。早く飯食おう」

いつもようにみんなで屋上に行こうとしたとき、

「ごめん俺今日パス！」

黒ちゃんはお弁当袋を持ちながら、屋上へ行く階段とは反対側に走っていった。私はそんな黒ちゃんの後ろ姿を見つめることしか出来なかった。

屋上について、みんなでご飯を食べてると湧が急に「ジュース飲みたい」って言いだして、じゃんけんで負けた人が1階の自販機に全員分買うことになった。

「ねぇ、うそでしょ」

パシリはまさかの私になった。文句を言ってるとゲラゲラ湧が笑ってきた。

「もういいよ笑みんな何が欲しい？」

そう聞くと各々が欲しいものを言ってきて、「もう適当に6人分買ってくるわ笑」そういって屋上から出た。

普通に考えて６人分覚えるのって思ったけどいつもみんなが飲んでるのでいいや、そう思って１階に降りた。

みんなのと自分のを買ってペットボトルを持った時、腕から一本ペットボトルが落ちた。

転がるボトルを追いかけて拾うと、近くの中庭から声がした。

「黒田くんにはもっといい人がいるって、」

「なんでそんなこと言うの、？」

黒ちゃんと先輩だ、、お昼も先輩と食べることはなんとなく察してた。てかこの会話聞きたくないな、そう思って屋上に戻ろうとしたとき、

「いつも一緒にいる日野さんとお似合いだよ。」

自分の名前が出てきて、ピタッと足が止まった。ここにいたら傷つくのをわかってるのに動けない。

「Aは、、友達だよ」

ほら、やっぱり。その言葉を聞いて、走って逃げた。

わかっていたつもりだった。黒ちゃんはいつか自分に振り向いてくれるって心のどこかで思っていた。友達だ、ってはっきり言われて、頭を鈍器で殴られたようなショックが全身を貫いた。

だんだん視界が歪んできたとき、足がもつれて廊下で盛大にこけた。持っていたペットボトルと紙パックがすべて腕をすり抜けて床に落ちた。

「みじめすぎ、」

ただそうつぶやくことしか出来なかった。