ヒロインにはなれない (ページ21)

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今日は朝がいつもより早かったから、朝のHRで担任の話す話が耳から耳へと流れる。

気づいたらHRは終わっていて、1時間目は移動教室だったからその用意をしてると、

「今日は黒ちゃんのとこ行かなくていいの？笑」

隣の湧にきかれたから、

「もう朝会ったからいい」

朝は見たくない黒ちゃんの愛おしそうに先輩を見つめる顔を見たから、今は会いたくない。

「朝ずっと俺といたくね？」

「朝練に今日行ったからそこで」

「お前そんなとこまで行ってんの？」

「ちーがーう。深田にジャージ返しにいったの」

「へぇー笑いいじゃんあ、あの紙袋？笑」

深田の机の横にかかってる紙袋を見て湧がニヤニヤし始めた。

「そうそう。じゃあ行くね」

そう言ってなっちゃんとみゆの元に駆け寄ったら、後ろから

「深田よかったやん！え！クッキーも！」

やーまんが静かに笑って言ってるけど、湧のバカデカボイスは教室中に響いてて、必然的にみゆにも聞かれて、

「えなになにA深田と何があったの」

「昨日借りたジャージ返して、クッキー渡した」

「キモいほど深田ニヤけてた」

なっちゃんがいうとみゆが、見たかったって笑った。

振り返ると、困ったような嬉しそうな深田と目が合った。