ヒロインにはなれない (ページ16)

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耳元で鳴り響くマリンバ

「やばい眠すぎる」

外はまだ少し暗く、目を薄めて画面の時刻を確認して起き上がった。

いつも通りメイクとヘアセットを一通りし終わると、洗面所のドアからお母さんがひょっこり現れて

「これ昨日の夜に乾燥機かけてできたよ！」

お母さんの手元には深田と印字されているジャージ

「ありがとう部屋に置いといて」

お母さんはニヤニヤしながら彼氏の笑？って聞いてきて、違うから！と否定すればするほど、怪しくて、いつか紹介してね！って誤解された。

部屋に戻り可愛い紙袋にジャージと昨日焼いて綺麗にラッピングしたクッキーを入れ、家を出た。

電車はいつもより少し混んでた。最寄りから二駅ほど離れ、ドアが開いたとき

「え！Aちゃん！！」

マスクをしたうっちーが乗ってきた。

「ちょ、うっちー声デカすぎ」

私の注意は届かず、なんでいるのー？の質問攻め

「昨日深田にジャージ借りて朝練だからいるかなって思って持ってきた」

ほら、って紙袋の中を見せると、

「えクッキーも作ったの？？」

「ちょっとしたお礼的な？笑」

「深田ずるーーーい俺も食べたーーーい」

駄々をこねるうっちーがあまりにも可愛いかった。

「深田喜ぶね笑」

「ほんと？喜んでくれたら嬉しいけど笑」

絶対喜ぶよ！と笑顔で手を握ってきたうっちーを見ていつかうっちーのためにスイーツ作ると心に決めた。

学校の最寄りについて、二人で学校に向かっている際に

「てかうっちー病み上がりに練習とか大丈夫？」

「全然大丈夫！多分！」

多分なんかいって突っ込むと、早くみんなに会いたかったから！と天真爛漫に笑った。

「うっちー抱きしめてもいい？」

「いいよー！わんわんじゃなくてもいいの？」

「わんわんは最近浮かれててムカつくからいいの！」

「俺がなんだって？笑」

「黒ちゃん、」