ヒロインにはなれない (ページ12)

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自分の席に行きスマホを取った。

窓から差し込む夕焼けの綺麗な光とは対称に心のもやが晴れず落ち込む私。

大人しく可愛らしいしゃべり方、守りたくなるような小柄な背丈、何もかも私とは真逆。

「勝ち目ないじゃん」

一人で呟いて机に顔を伏せた瞬間、ドアが開いた。

「ほんとに元陸部？遅くない？笑」

「え、深田ごめん。ちょっと色々あって」

椅子から立ち上がろうとしたとき深田が近づき、前の席に座った。

「Aは可愛いよ。」

「え、？」

「ふふ笑顔真っ赤笑」

「やめてよ笑今日の深田なんか少女漫画の主人公みたい笑」

「やっと笑ったほら帰るよ笑」

どこまで聞いていたかはわかんないけど、深田は先ほどの黒ちゃんとの会話を聞いていたんだろう。

「ありがとう。」

「急に怖いんだけど笑てかもう帰るよ？笑てかほんとに元陸部なん？笑」

「待って私本気で速いよ？マジでビューン！って」

嘘くせーって深田が笑ってきたから、肩に軽くパンチするとギャーギャー騒ぎ出して校庭まで笑いながら歩いた。

さっきまでの辛いことがなかったみたいに心は晴れた。