ヒロインにはなれない (ページ11)

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教室のドアに手をかけたとき、中から声がして手を止めた。

顔を見なくてもわかる大好きな声だった。

「先輩いつになったら、俺のこと好きになるの？」

「黒田くん、からかわないで！笑」

「俺マジですって！会ったときからずっと先輩だけが好きです！」

一番聞きたくない会話だった。誰がどう聞いても両想いな会話。

「最悪、」

小さい声で呟いて教室のドアを開いた。

ガラガラと音をたててドアを開くと、びっくりした顔の二人がこっちを見た。

「え！黒ちゃんまだいたの？？」

知らないふりをしてローファーのヒールの音を鳴らせながら二人に近づいた。

「なんだ笑Aか、うん笑！」

「へぇー！えっと、、え！もしかして黒ちゃんの彼女？？」

「え！違っ！違う違う！」

黒ちゃんは明らかに動揺した。

「あはは、びっくりした笑」

そう言って先輩のことをチラッと見ると、バッチリ目が合ってすぐに、

「あの、ごめんね、帰るね、黒田くん」

そう言って私にも会釈して少し傷ついた顔をして教室から出て行った。

「え、ちょっ！」

黒ちゃんはわかりやすく落ち込んだ顔をしてすぐに先輩を追いかけようとしたから

「黒ちゃん待って！」

黒ちゃんのスクバの肩紐をつかんだ。

「あのね、黒ちゃんのかっこよくて、まじめなとかが好きだよ。」

「急に改まって言われたら、照れるわ笑！」

「えーいつも言ってるのに笑？」

ありがとうって言いながら耳まで真っ赤にして手を振りながら帰っていく黒ちゃんを見つめてた。

ほんとに黒ちゃんはずるいな。