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27 戻れない ページ27

「アシミ、そのぬいぐるみは?」

「アリクァムがくれたわ」

アシミ返答にナーガが顔をしかめる。

「何であんな奴が作ったものを持ってるんだ?
憎くないのか」

「アリクァムは私を一番理解してくれているから、憎くないの。
私が憎いのは鳳ツルギだけだわ」

そうアシミが断言すると、ナーガは表情を曇らせる。

「……俺にはそんな奴はいない。
バランスもあいつらの仲間だ。
きっと俺のことを否定する」

「いいえ、私がいるわ」

ナーガが驚いたようにアシミを見た。

本当にたくさんの表情が出来るようになったな、と思いながら、アシミは微笑む。

「例えバランスがあなたを否定したとしても、あなたには私がいるわ。
私はあなたの背中を押したんだもの」

「……そうか、そうだな。
安心した」

アシミの言葉を聞いて、ナーガはようやく力を抜いたように笑った。

アシミは敢えてアキャンバーの名前を出さなかった。

もしかしたら、ナーガはキュウレンジャーのところに戻るかもしれない、と考えたのだ。

時計を見たナーガが「俺はそろそろ出る時間だ」と呟いた。

「それじゃあ、私も出るわ」

アシミはそう言ってぬいぐるみをしまい、ナーガについて行く。

道が違うところで別れ、彼の姿が見えなくなってから自分のヘビツカイキュータマを取り出して見つめる。
何の輝きもなくなった、エンプティともいうべき姿だった。

自分はもうヘビツカイシルバーにはなれない。
キュウレンジャーに戻ることも出来ない。

きっとこのまま進んだら、自分はキュウレンジャーに倒されるのだろう。
もう戻れないところまで来てしまったし、今更それを受け入れられないわけではない。

覚悟はとっくに出来ている。

ヘビツカイキュータマをしまって、悠々と歩き出す。

アシミの瞳が、偶然なのか予測されていたのか、目的地にいるツルギを捉える。

彼と相対すると、アシミは自嘲した。

「……私、青いのかもしれないわ。
過去に感情を残していくなんて、ないと思っていたのだけど」

「例外ってのは何にでもあるもんだ」

ツルギが言い終わるのと同時に、アシミが鎌で斬りつけにかかる。

ツルギは変身してそれを受けた。

「随分とせっかちだな」

「あなたが知ったような口を聞かないでほしいわ」

アシミが怒りを露わにすると、闇が少し濃くなる。

ツルギはホウオウブレードとシールドを構えた。

二人の勝負の幕開けである。

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つっつまー(プロフ) - リナっちさん» こんばんは。 お疲れ様! 全然大丈夫だよ。 それぞれの事情とかあるし。 掛け持ち大変だね。 困ったら相談に乗るよ。 私もエグゼイド好きだから、終わっても色々書きたい(笑) リナこそ無理しないでね。 (2017年8月22日 23時) (レス) id: 6cb1a01a88 (このIDを非表示/違反報告)
リナっち(プロフ) - つっつまーさん» こんばんはm(__)mお疲れ様m(__)m更新お疲れ様m(__)m凄いなぁ……。あたし…全然できていない(泣)ごめんね(/´△`\)あと…4本小説完結しません(泣)夏が終わるのにsummerrain終わらない…王子さま〜も終わらない…(泣)エグゼイド終わってもかき続けます!無理しないでね。 (2017年8月21日 22時) (レス) id: 79a0b77c82 (このIDを非表示/違反報告)
つっつまー(プロフ) - ミュさん» ありがとうございます! これからも期待に添えるように頑張ります。 (2017年8月13日 14時) (レス) id: 6cb1a01a88 (このIDを非表示/違反報告)
つっつまー(プロフ) - リナっちさん» こんにちは。 ジャンル違うのに来てくれてありがとう! 原作は大筋が一緒くらいにしか出て来ないから、気楽に読んでくれればいいよ。 リナも無理しないでね。 お互いに頑張ろう! (2017年8月13日 14時) (レス) id: 6cb1a01a88 (このIDを非表示/違反報告)
ミュ - 更新頑張ってください!!!! (2017年8月13日 8時) (レス) id: 4bb35ed287 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:つっつまー | 作成日時:2017年8月7日 23時

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