救世主の未来旅行

11　撃破 ページ11

マァサと集落の人々を退避させ、ハミィは身構える。

先程まで覆っていた霧もすっかり晴れた。

存分に戦えそう、とハミィが思っているところへ、アシミが来た。

恐らくゴネーシが吹っ飛んできたり霧が晴れたのは彼女のおかげだろう。

ハミィはそれを察していたので、何も訊かなかった。
代わりに一言だけ誘いの言葉を紡ぐ。

「いくよ」

「当然だわ」

『カメレオンキュータマ！
セイ・ザ・チェンジ！』

『ヘビツカイキュータマ！
カモン・ザ・チェンジ！』

「スターチェンジ！」

キュータマの起動音と二人の声が響くと、二人が変身する。

「シノビスター！
カメレオングリーン！」

「シオフィリオススター！
ヘビツカイシルバー！」

「究極の救世主！」

名乗りを上げた後、ハミィがそう叫んだ。
アシミは次の行動を読み、ハミィと共に叫ぶ。

「宇宙戦隊キュウレンジャー！」

これはハミィ達が自己紹介をする時にやってくれたのだ。
11人の救世主が並ぶ姿は圧巻でアシミは単純にそれを気に入ったし、やってみたいとも思っていた。

ゴネーシが憤りながら突っ込んできたが、満足して士気が高まっていたアシミは簡単に鎌で複数回切りつけた。
そこにハミィのレイピアによる追撃が加わり、ゴネーシは為す術なく倒れ込む。

『ギャラクシー！』

そして、ゴネーシは彼にとって悪魔のような音声を聞いた。

「ダブルスターインパクト！」

ハミィとアシミの必殺技による同時攻撃により、ゴネーシは倒れた。

「こうなったらキョダインローで巨大化して暴れてやるネッシー！」

爆死寸前でも負けを認めないゴネーシにアシミは冷たく言った。

「無理だわ。
あなたのキョダインローは私が持ってるもの。
……人々を騙した罪が閻魔様に赦される運、あなたにあるといいわね」

「グッドラック！」

ハミィが決まり文句をアシミに続けて言った直後に、ゴネーシは爆死した。

☆☆☆

アリクァムは占星術で導き出した情報を基に、森の中を歩いていた。

突如襲いかかってきた蔓を自分の得物である槍で切り裂き、言った。

「警戒しないで、エリス様。
僕はオライオンの仲間だ」

「そんなもの、信じられぬ」

予想よりも早く返事がきた。

エリスは姿をまだ隠しているが、どこにいるのかは気配で何となく分かる。

「本当だよ。
彼はエリス様との会話をちょっと教えてくれたけど、覚えてるよ？」

アリクァムはそう言って、オライオンから聞いた出来事をエリスに話した。

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