“愛”を教えて抱き締めて

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sideA

柳は俺の言葉に動きを止めた
真っ直ぐな視線が俺に刺さる

「仕方ない」

そんな柳の声が聞こえたと思えば、俺は一瞬にして柳の胸に寄りかかってた

『！？』

「まじないをかけてやる」

耳元で囁かれた直後、首筋に鋭い痛みが走った
思わず顔を顰め柳のジャージの掴んでしまう

やがて柳は俺から離れて部屋に荷物を取りに行った









ほんの一分くらいで部屋から出てきた

「行くぞ」

そう言って俺の手を掴み、歩き出した

掴まれた手は大きくて暖かい
全て包み込んでくれる掌に俺は少し安心した









──────────
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あまり使わない裏のコートに付くと、柳は自分のラケットバックから道具を取り出し支度を始める

「A、ストレッチするぞ」

『あ..あぁ』

リストバンドを付けながら振り返った柳に返事をして、俺は奴の元まで歩み寄った

「先にしてやるから、ここに座れ」

言われた俺は大人しくその場に腰を下ろした
柳はそれを見て俺の背後に回る

「お前は身体は柔らかい方だが..ストレッチをすればもっと動きにメリハリが付くだろう。ほら、開脚」

足を開けば、柳に背中を押される
ググッと股関節辺りが伸びてる感じがした

「まじないは効いたか？」

いきなり問われて俺は返事に止まってしまう
柳の言葉を頭でループさせて意味を考えた

まじない？

『...まじない、って？』

「..つい数分前に付けてやったんだがな」

『数分前...』

「俺が部屋にお前の荷物を取りに戻る前だ」

言われて、やっとピンときた
...が効いたかと言われると分からない

すれ違った四天宝寺のメガネの小春って奴は
何か赤くなってたけど

『分からない』

「だろうな」

俺の答えに即答されたのでムッとなった

『だろうなってなんだよ』

「俺のかけたまじないが何かわかってないだろ」

『まぁ..わかってないけど』

言うと、柳は声をあげて笑った
いきなりの事に驚いて振り返ってみれば
柳は何時もより柔らかい笑顔で俺を見ていた

『..なんだよ』

「教えてやろうか？」

『別に、いいし』

断って再び前を向くと柳は背中を押すのを止めた
終わったのかと思って立とうとすれば
今度は背後から腕を回されて抱き締められる形に
なる

『！？』

「俺のまじないは定期的にかけなければ効果が消えてしまう代物でな」

『っ..』

耳元で囁かれた為に身体が反応してしまった

「..だが、効果は抜群だぞ」

そう言って柳は俺の首筋に指をなぞらせた

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