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長い長い授業も終わりあっという間に放課後になった。部活の準備をしたり帰る準備をしたり、と人それぞれだ。私は部活に入っていないため、友達といつもなら帰るのだが今日はその友達も用事があるらしく一人で帰ることになった。
履き慣れたローファーには、つま先を曲げた時に出来たいくつもの線が入っている。少し皮もめくれている箇所がある。そろそろ買い替えかもしれない。家に帰ったらお母さんに相談しようと思い、私は校門を出て帰路に着いた。
「疲れた……」
自分に部屋に入ると同時に私は床に倒れ込む。昨日はキヨくんのことがあったし今日は数学の時間に恥ずかしい思いをするしで私のメンタルはボロボロだ。
ふとキヨくんの存在を思い出し、辺りを見回してみるが姿はない。
「キヨくん……？」
「何」
後ろから聞こえてきた声に思わず私は声を上げてしまう。
「なんでいるの！？」
「お前が呼んだんだろ」
腕組みをして人のベッドにしっかり座り込むキヨくんがいた。数学の時といいキヨくんは神出鬼没すぎる。吸血鬼は瞬間移動でも出来るのだろうか。
視線を上げるとキヨくんの顔が目の前にあった。息が止まり、赤い瞳から目が離せなくなる。
「甘い匂いする」
「甘い……？あ、今日友達が香水つけてくれて…餃子食べたからいい匂いにしとけって」
甘い匂いの理由を話すと、キヨくんは私の顎に手を添えた。これは顎クイというものだろうか。触れられたとこが熱くなっていく。
「血、吸っていい？｣
その問いかけに私は何も答えなかった。沈黙は肯定と見なしたのか首筋にぷつりと牙が刺さる感触がした。吸血されていることで血が減っていっているせいか、少しぼんやりとする。血液が自分の首を伝っていく。だが痛みはなく少し痺れる感覚がするくらいだ。昨日言っていた麻酔でも効いているんだろうか。
「もういい」
そう言うとキヨくんは顔を私の首元から離した。その顔が少し儚げで、伏し目がち故に綺麗なカーマインの瞳は隠されていた。こんな顔するんだ、とじっと見ているとキヨくんが顔を上げた。視線が交わる前に私は目を逸らした。
吸血された首筋を触ってみると傷一つなく、指には血もついてない。
ふと疑問が浮かび上がり、私はキヨくんに質問する。
「キヨくんって、私にしか視えてないんだよね？今まで血を吸いたい時はどうしてたの？」
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蘭(プロフ) - 鮫島さん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえてとても嬉しいです。更新が遅くて申し訳ありませんが、続きを待っていただけると幸いです。 (2020年3月22日 3時) (
レス) id: fe69aa8e2d (このIDを非表示/違反報告)
鮫島(プロフ) - とても私好みの小説で面白いです…！更新頑張ってください！ (2020年3月19日 0時) (レス) id: f96bdb592e (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - 巡さん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえて嬉しいです。更新頑張ります。 (2020年1月7日 18時) (レス) id: c4a54b0710 (このIDを非表示/違反報告)
巡(プロフ) - ものすごく素敵なお話ですね…！応援してます！頑張ってください！ (2020年1月6日 21時) (レス) id: c8ea001036 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭 | 作成日時：2020年1月4日 15時
