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ひとしきり泣いた頃には、後夜祭のキャンプファイヤーは終わりに近かった。涙でぐしゃぐしゃになった顔も少しはマシになっているだろう。
私はそっとキヨくんの腕の中から抜けた。
「ありがとう。もう、大丈夫」
やっと冷静になり始めた私は、心の中でずっと留まっている疑問をキヨくんに投げかける。
「キヨくんは、なんで私に居場所を教えないようにしてたの？」
「……うっしー達から聞いたの？」
私が頷くとキヨくんは大きなため息をついた。1拍置いて、ゆっくりと口を開く。
「ハロウィンの日って、俺達みたいなのは情緒不安定なの」
レトさんからも聞いた事だ。
「凶暴化したり、逆に鬱になっちゃったりする奴もいるわけ。俺は今までそういうことは無かったけど、念の為」
「……私に危害を、加えないように？」
「そう。だから、Aのこと避けてるとかじゃないよ」
その言葉に私は心底ほっとした。キヨくんの優しさにまた泣きそうになったが、下唇を噛んで涙を止めた。
さすがにもう1つの疑問を明かす勇気は無かった。どうして私が、キヨくんを好きになったらキヨくんが辛い思いをするのか。聞こうと思えば聞けるかもしれない。だが本能的に聞いてはいけない気もした。少しのもやもやを抱えたまま、私はキヨくんと屋上を出た。
「話は終わった感じ？」
階段を降りて声をかけてきたのは、こちらの気も知らずに手を振るレトさんだった。
「話っていってもそんな大したこと話してないよ」
「ふーん……？」
レトさんは納得のいってない様子だった。
はっきり言って私は今レトさんに苦手意識しかない。目の前のこの"悪魔"に全て掻き乱されている気がする。
悪魔と名乗るだけあって性格も悪魔だ。
「うっしーとガッチさん、下で待ってるって」
そう言いながらレトさんは尻尾をゆらゆらと揺らして歩き始めた。私はキヨくんと後を着いて行くことにした。
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蘭(プロフ) - 鮫島さん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえてとても嬉しいです。更新が遅くて申し訳ありませんが、続きを待っていただけると幸いです。 (2020年3月22日 3時) (
レス) id: fe69aa8e2d (このIDを非表示/違反報告)
鮫島(プロフ) - とても私好みの小説で面白いです…！更新頑張ってください！ (2020年3月19日 0時) (レス) id: f96bdb592e (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - 巡さん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえて嬉しいです。更新頑張ります。 (2020年1月7日 18時) (レス) id: c4a54b0710 (このIDを非表示/違反報告)
巡(プロフ) - ものすごく素敵なお話ですね…！応援してます！頑張ってください！ (2020年1月6日 21時) (レス) id: c8ea001036 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭 | 作成日時：2020年1月4日 15時
