14 ページ14
14
ピピピ……と聞き慣れたスマホのアラームで目が覚める。
「6時……もうちょっと寝れる……」
私はもう一度眠ろうとしたところで気付く。
「じゅ、準備しなきゃ！」
急いで起き上がって私は制服に着替え始めると、後ろから声がした。相変わらず気配を消すことが上手いキヨくんに、思わず肩が上がる。
「何そんなに急いでんの？」
「びっくりした……今日から文化祭週間で準備があって早く学校行かなきゃなの」
体育祭も終わり文化祭の準備にどこの学校も取り掛かるこの季節。うちの学校も例外ではない。うちのクラスはコスプレ喫茶をやる事になり、クラスの家庭科部の女子は張り切っている。丁度文化祭の季節はハロウィンと被るため、コスプレしてハロウィン気分も味わおう、という事になった。
「ふーん……行ってら」
「行ってきます！」
そう言って私は家を飛び出した。昨日も遅刻して急いでいたせいか、なんだかデジャブだ。
学校に着き教室に入ると、気の早い人達はもう既に準備に取りかかっていた。
「Aおはよー」
「おはよー……もう準備始めてるって早いね」
「何もしないよりいいでしょー」
そう言って友達は黙々と飾りを作っている。私も実行委員の子に道具を貰い、彼女の隣に座って飾りを作る事にした。
「ねえねえ、Aはジンクス信じるタイプ？」
「ジンクス……？後夜祭で屋上でキスをした男女は結ばれるとかの？」
「そうそう。ありきたりだよねー」
昔から伝わるジンクスらしい。確かにありきたりすぎるが割と信じている生徒は多いらしく、文化祭に屋上で告白する生徒は実際結構いる。
「まあそんな相手いないんだけどね」
自虐的に笑いながら彼女はそう言った。生まれてから今まで1度も恋をしたことがない私も当然相手などいるわけがない。高校生になっても初恋がまだなんて少し恥ずかしいくらいだ。
「そう言えば今日役割とかも決めるらしいよ」
「役割って接客とか調理とか受付の？」
「そうそう。よかったら一緒に接客しようよ！」
「私調理がいいな」
「だって可愛い衣装着れるかもなんだよ！？やろうよ〜！」
可愛い衣装に心が踊らないと言えば嘘になる。仮装をするのは少し恥ずかしさもあるが、天秤は恥ずかしさよりも可愛さの方に傾いた。私は接客を希望することにした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 137人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蘭(プロフ) - 鮫島さん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえてとても嬉しいです。更新が遅くて申し訳ありませんが、続きを待っていただけると幸いです。 (2020年3月22日 3時) (
レス) id: fe69aa8e2d (このIDを非表示/違反報告)
鮫島(プロフ) - とても私好みの小説で面白いです…！更新頑張ってください！ (2020年3月19日 0時) (レス) id: f96bdb592e (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - 巡さん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえて嬉しいです。更新頑張ります。 (2020年1月7日 18時) (レス) id: c4a54b0710 (このIDを非表示/違反報告)
巡(プロフ) - ものすごく素敵なお話ですね…！応援してます！頑張ってください！ (2020年1月6日 21時) (レス) id: c8ea001036 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蘭 | 作成日時：2020年1月4日 15時
