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視界が開いていくのと同時に自分は気を失っていたのか、と気づく。まどろみの中でぼんやりとしているとだんだんと頭が働き始めた。なんだか吸血鬼に血を吸われる夢を見た気がする。おかしな夢だな、吸血鬼なんてこの世にいるはずがないのに、と思っていると声がした。
「あ、目覚ました？」
目の前に浮いているのは夢の中にいた男にそっくりだった。全てを思い出し、夢かもしれない、という希望は私の中で音を立てて崩れていった。
「急に腰抜かして倒れたから吸血しすぎて死んだかと思ったけど。気失ってただけだな」
どうやら私は眠っていたのではなく気を失っていたらしい。だんだんと頭の中がスッキリしてきて思い出した。
『吸血鬼だよ』
私が意識を失う前にこの男は確かそう言っていた。自分の状況に改めて恐怖感を感じた私は、本能的にとりあえず親を呼ぼうとした。
「お母さっ……」
「無駄だよ」
吸血鬼は私の口を塞いだ。
「親に助けを呼ぼうとしたみたいだけど、残念なことに俺のことはお前にしか視えないの。親が来てもなんの解決にもならない」
私にしか視えない…？私は霊感があるとか、そういうことは全く以ってない。こんなものを見るのは今日が初めてだ。
「なんで……だって私別に霊感とか、何も」
「今日の月の形は？」
月の形とこの吸血鬼が見えることに、何の関係性があるのかは分からない。しかし自然と視線は窓の外へ向く。今日は満月だ。
「満月、です」
「はい正解」
「それが、私にあなたが視えるのと何が関係あるんですか？」
「満月には昔からパワーがあるって言われてるけど、月がエネルギーを発揮できない『ボイドタイム』の時がある」
「ボイドタイム……？」
「ボイドタイムの時は人間の感情が乱れたり、おかしなことが起きたりもするわけ。今日がそのボイドタイム。不運なことにお前はそのボイドタイムで視える体質になったみたいだな」
一気にいろいろと説明をされて、頭がパンクしそうになる。だが疑問が一つある。
「そのボイドタイムでおかしなことが起こるんなら、何で今なんですか？今まで何もなかったのに」
「そんなことまで知らねーよ。頻繁におかしなことが起こるわけじゃないしたまたまだろ」
たまたまって……そんな理由で運悪く視えちゃいけないものが視えるようになったというのか。
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蘭(プロフ) - 鮫島さん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえてとても嬉しいです。更新が遅くて申し訳ありませんが、続きを待っていただけると幸いです。 (2020年3月22日 3時) (
レス) id: fe69aa8e2d (このIDを非表示/違反報告)
鮫島(プロフ) - とても私好みの小説で面白いです…！更新頑張ってください！ (2020年3月19日 0時) (レス) id: f96bdb592e (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - 巡さん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえて嬉しいです。更新頑張ります。 (2020年1月7日 18時) (レス) id: c4a54b0710 (このIDを非表示/違反報告)
巡(プロフ) - ものすごく素敵なお話ですね…！応援してます！頑張ってください！ (2020年1月6日 21時) (レス) id: c8ea001036 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭 | 作成日時：2020年1月4日 15時
