特別な日だから/rt ページ10
今日は特別な日。特別な日というと、誕生日や恋人との記念日……などがあるが今日はそれのどれにも当てはまらない。
それなら一体何が特別なんだ、というと今日は彼氏がゲーム実況を始めて11周年が経つのだ。何か一つを11周年も続けるというのは素晴らしいことだ。
そろそろ今日のための料理の支度でもしよう、と思っていると、『今日の主役』は作業部屋から顔を覗かせた。
「ご飯作るん？」
「うん、そろそろ作り始めようかなって」
「早くない？」
「今日は特別な日だし張り切って作っちゃおうと思って……」
レトルトはこちらに向かってきて寄りかかった。
「どうしたの？」
「俺の彼女可愛いなあ、と思って」
急にとんでもない爆弾を投下されたので顔が赤くなっていくのが自分でも分かった。普段は好きも可愛いも言わないのにたまにこういうことを言ってくるので心臓に悪い。
「今日はご機嫌だね」
「そう？」
当の本人はこちらの気も知らずいつも通りでなんだか悔しい。
「でもそろそろ退いてくれないと料理が作れないよ」
「もうちょっとだけこうしてたいんやけど、だめ？」
……断れるわけがない。その聞き方は無意識でやっているとしたら相当な小悪魔だ。わざとならわざとでそれはずるい。
「11周年やって」
レトルトはそうぽつりと呟いた。
「そうだね。11周年おめでとう。今日はレトルトが主役の特別な日だよ」
「特別な日だから、言いたいことがあるんやけど、いい？」
さっきまでとは一変変わって急に真剣な表情に切り替わり、何を話されるんだろう、と緊張していると
「俺と結婚してほしい」
パーカーのポッケから小さな箱を取り出し、その箱を開けてこちらに差し出した。それは紛れもなく指輪で、シンプルなデザインながらもダイヤモンドがキラキラと主張していた。
「ずっと今日言おうって決めてて、どうするか考えてたんやけど変にカッコつけるのも俺らしくないし……ってA？」
気づけば私は泣いていた。恥ずかしいくらいには号泣していた。
「こ、こんな私でよければ、お願いします……」
「Aじゃないと駄目なんやけど」
「う……レトルト……」
「いつまでも泣かへんで、今日は、『特別な日』なんやから」
そう言ってレトルトは私の涙を優しく拭った。きっと今の私は世界で一番の幸せ者だ。
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レトルトさん11周年おめでとうございます、ということで執筆しました。
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蘭(プロフ) - なめこさん» そう言ってもらえてとても嬉しいです。これからもキュンキュンするお話頑張って書きます！ (2020年1月8日 6時) (
レス) id: c4a54b0710 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ - めっちゃキュンキュンしました！ (2020年1月7日 21時) (レス) id: 136e05d453 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭 | 作成日時：2019年11月30日 10時
