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マスク越しのキス/uszw ページ3

風邪を引いた。
急激にここのところ冷え込んだからだろうか。
とりあえず誰かに移してしまってはいけないと思い、私はマスクをした。

今日は牛沢の部活が休みなので一緒に帰るのだが、先生に呼び出されたらしく待っててと言われたので教室で1人待っていると


「ごめんA。遅くなった」

「いいよ、気にしてないから」


じゃ、帰りますかという牛沢の後ろを私はついて行った。
それからは今日の授業の話だとか、新作のゲームが面白い、なんて他愛のない話をした。
あっという間に家の前まで着いたので、じゃあまた明日、といつも通りの挨拶をして別れようとしたが気付けば私は床に座り込んでいた。


「A、朝から体調悪いんだろうなとは思ってたけどやっぱり風邪引いてるじゃん」


牛沢は呆れたのかため息をついた。
親は?と聞かれたので今日は仕事でいない、と返すと


「手、貸すから立てる?」


そう言われたので牛沢の手を握ると、家の中まで送るから、と言われた。
いつもの私なら断るのだが今回くらいは甘えることにした。
そして二階の自分の部屋まで連れて行ってもらい、私はベッドに座った。


「あのさ、俺、彼氏なんだけど」

「……うん?」

「うん?じゃなくて。こういう時くらい頼ってほしいわけ」


急に真面目な表情をするので不覚にもドキッとする。
眼鏡の奥の瞳に自然と惹かれる。


「あ……っと、そのなんていうか、頼れなく、て」

「は……?何、俺じゃ頼りないわけ?」

「違う違う!そうじゃない!そうじゃなくて、えっと、その……ずかしい」

「聞き取れないんだけど」


牛沢は首をかしげる。
ああもう可愛すぎて反則だ。


「恥ずかしいの!私、甘えるとか可愛いことなんてできないし」


そういうと牛沢は目を丸くして長いため息をついた。


「A……キスしていい?」


唐突にぶっ飛んだことを言われたので水でも飲んだら吹き出しただろうか、とくだらないことを考える余裕は意外とあった。


「どう考えても風邪引きに言うことじゃないよね……」

「そうだね」

「じゃあキスはしません」

「残念だね、でもさ……こうならよくない?」


そう言うと牛沢は立ち上がって、顎クイと呼ばれているものをした。
そして、マスク越しに唇を重ねた。
意外とマスク越しでも口と口が触れ合う感覚はあるもので、それは思ったよりもきちんとしたキスだった。


「これなら風邪も移んないでしょ」


そう言って君は微笑んだ。

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(プロフ) - なめこさん» そう言ってもらえてとても嬉しいです。これからもキュンキュンするお話頑張って書きます! (2020年1月8日 6時) (レス) id: c4a54b0710 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ - めっちゃキュンキュンしました! (2020年1月7日 21時) (レス) id: 136e05d453 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年11月30日 10時

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