どうせ落ちるなら/rt ページ14
雲一つない、そんな空に飛び込めたらどれだけ気分がいいだろうか。まあそれを今から実行に移すのだが。私生活に疲れてしまった、そんな私はこれからアスファルトに落ちていくのだが、いざ屋上の縁に立つと足がすくむ。
でもどうせ生きていたって何も無い。17年という短い人生だったが悔いはない。さようなら。
ああでも、恋はしたことがなかったな＿＿
「ちょちょちょちょっと待って！？」
後ろから声がした。私のせっかくの決心を台無しにするなんて。そう思って後ろを振り替えると、見覚えがあるようなないような、茶髪のマスクをした男子がいた。
「香……なんとか君。だっけ」
「香坂！！って自己紹介してる場合やなくて！そんなとこで何してるん！？」
「何って……分かるでしょ。あなたのせいで邪魔されて気分は最悪だけど」
バンジージャンプでも告白でも何にしろ、その場の勢いというものが大事なのにこれでは仕切り直しだ。やはり学校の屋上なんてよくなかっただろうか。一人で考えていると急に引っ張られる感覚がしたので視線をやると
「と、とりあえずこっち来ない？そこ、怖いし…」
生憎人前で死ぬ趣味はないので、仕方なく香坂君に従い柵の向こう側に降りた。
「……何であんなこと」
「何で死のうとしてたかなんて、香坂君には関係ないことじゃない」
「それはそうやけど。でも目の前であんなことされて、止めないほど俺薄情な人間じゃないし」
別に香坂君が優しいか優しくないかはどうでもいい、のに。おかしい。自分の頬を伝うのは紛れもなく涙で、コンクリートに水玉模様がぽつり、ぽつりと出来ていく。
「Aさん……泣いてるん？」
香坂君は私の顔を見て少し焦っていたが、その後引き寄せられて、気づけば私は香坂君の胸を借りて泣いていた。今まで人前で泣くなんてみっともないこと、したことがなかったのに。我慢していたのに。
「本当はさっきだって怖かった。誰かに、止めてほしくて……まだ17年間しか生きてない！したいことだって、たくさん。誰かを好きにだって、なりたかった」
自分が今どんな顔をしてるかも分からないし、何を言ったかも分からない。でもこの腕の中に入った途端、それまで必死に必死に溜め込んでいたのに意味が無くなってしまった。
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蘭(プロフ) - なめこさん» そう言ってもらえてとても嬉しいです。これからもキュンキュンするお話頑張って書きます！ (2020年1月8日 6時) (
レス) id: c4a54b0710 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ - めっちゃキュンキュンしました！ (2020年1月7日 21時) (レス) id: 136e05d453 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭 | 作成日時：2019年11月30日 10時
