アダムの林檎にキスを/uszw ページ12
『Adam's Apple』というのは喉仏を英語に訳すとこうなる、というのを私は何かで聞いた事がある。おしゃれだなあ、くらいにしか私は思わなかった。
今日は彼氏の家に遊びに来ている。遊びに、というよりは付き合っているのだからデート……という方が正しいのだろうか。お家デートというやつだ。
二人でゲームをしたりご飯を食べたり、とのんびりしていたのだが先程牛沢は寝てしまった。せっかく久しぶりのデートなのに寝られてしまうと彼女としては不満もあるが、ここのところ忙しそうで疲れていたから仕方ない。せっかくの休日を私のために割いてくれてるだけでも充分すぎるほどだ。
それにこうして気持ちよさそうにお昼寝する牛沢を見るのも悪くない。普段はゲスな男だが寝顔は可愛い、なんて思っていると動いたので起きたのかと思い驚いたが顔の向きが気に入らないだけのようだった。眼鏡が壊れてはいけない、と思い眼鏡をそっと外した。
「好きだなぁ……」
ふと、好きだなあ、なんて思うのは恋をすると誰でもそうなるものだろうか。思わず声に出して呟くくらいにはこの男に染まってしまっている気がする。こんなことが言えるのも寝ている時くらいなのだが。
牛沢の顔をまじまじと見ていると、喉仏に目がいった。当たり前なのだがきちんと男の人なのだなあ、と感じる。気づけば私は、顔を近づけてキスをした。唇じゃなくて喉仏に。とんでもなく恥ずかしいことをした気がしてきて頭を冷やそう、そう思い立ち上がったのだがそれは阻められた。
「キスでもされるのかと思って寝たフリしてたけど、こっち?」
眼鏡の位置を整えながら、若干まだ眠そうな彼は自分の喉仏をトントン、と指す。
「起きてたの……ど、どの辺りから」
「眼鏡外された時くらいから?」
それはつまり、私の「好きだなぁ……」発言も聞かれていたということだ。最悪だ。絶対からかわれるに決まっている。
「喉仏にキスされるなんてことあると思わなかったわ」
「掘り返さないでくれる?」
「やだね。弱みにでもしてやるよ」
屈辱でしかない。ゲス沢と呼んでやる。
「まあそんなむすっとしないでさ」
そういうと牛沢は掴んだままの私の腕を引き寄せた。牛沢の腕の中に私は収まりこんでしまった。
「起きてる時の俺にもキスしてよ。さっきの続き」
「しない」
「そういうと思った。だから、俺からする」
そういうと牛沢は,唇を重ねた。
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蘭(プロフ) - なめこさん» そう言ってもらえてとても嬉しいです。これからもキュンキュンするお話頑張って書きます! (2020年1月8日 6時) (レス) id: c4a54b0710 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ - めっちゃキュンキュンしました! (2020年1月7日 21時) (レス) id: 136e05d453 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘭 | 作成日時:2019年11月30日 10時