視界を奪うのは/ky ページ1
ふ、と視界が暗くなることがよくある。
それは自然なことではなくて、誰かの手で、故意にだ。
「キヨくん」
「バレた」
視界を奪うのはいつも決まってキヨくんだ。
キヨくんとは幼馴染なのだが、小さい頃からキヨくんは私と出会ってきたときは必ずと言っていいほどこうして視界を奪ってくる。
「バレるに決まってるよ。」
逆にバレない自信があるならそれはどこから湧いてくるのか教えてほしい。
だけど私はこうしてキヨくんに視界を奪われるのが好きだったりする。
大きいけどどこか暖かい、そんなキヨくんの手が好きなのだ。
でもさすがにそろそろ見えないのは困るので手を退けてほしい。
「キヨくん、そろそろ手を……」
「退けない」
「普通に困るんだけど」
「じゃあ、キスしても、いい？」
キス……？ほとんどの生徒が帰宅し、使われることの少ない旧校舎で誰もいないとはいえ一応ここは学校だ。
「キヨくん……ここがどこか分かってる？」
「学校」
「こんなとこでキスするほど私は不真面目じゃないよ」
「そうだね、Aは真面目だから。でもさ、たまにはスリルを味わって不真面目になるのも悪くないんじゃない……？」
そう言ってキヨくんは私の体の向きをくるりと変えて、キスをした。
なぜ視界が真っ暗なのかはキヨくんがもう片方の手で私の視界を奪っているからだと少し経って理解した。
「私、キスしていいなんて一言も言ってないんだけど」
「でもさ、顔真っ赤だよ」
そんなこと自分でもわかる。
言葉にされると自覚していても恥ずかしさが増すじゃないか。
「キヨくん、キスした後って絶対じっと見つめてくるし、照れないわけが……」
「じゃあ、Aが恥ずかしくないように見えなくしてあげる」
私の言葉に重ねてそう言うとキヨくんはもう一度私の視界を奪って、優しくて甘いキスをした。
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蘭(プロフ) - なめこさん» そう言ってもらえてとても嬉しいです。これからもキュンキュンするお話頑張って書きます！ (2020年1月8日 6時) (
レス) id: c4a54b0710 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ - めっちゃキュンキュンしました！ (2020年1月7日 21時) (レス) id: 136e05d453 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭 | 作成日時：2019年11月30日 10時
