33 ページ35
,
兄と妹。
…どちらかと言うと、兄さんの方かな。そう考え、彼について思い出す。
私の兄にして、上司である彼は、会社の営業を担っていた。いつも成績はトップで、そのうえ同期や上司、部下への愛想も良いので、まだ20歳なのに、次期社長とも噂されているほどだ。それくらい凄い、いわゆる、天才的な頭脳を持っていた。性格的には、あんまり、そんな感じはしなかったのだけど。でも、そういう意味で言えば、私の1番苦手な人物なのかもしれない。良く言えば天才、悪く言えば変人。そんな人だ。
…私の全てを隠せる人。いや、隠そうとする人。そんな人を考えると、兄くらいしか思い浮かばない。私が考えているよりも、遥かに上を行く思考を持っていたらしい。現に、兄は、私に悟られることなく、私の情報を隠しきっていた。どうして隠していたかは、わからないけれど。
「…その顔、知ってる、って顔だね？ね、誰なの？ライムちゃんの全部を、隠してる人って…♪」
そう聞かれ、答えない訳にもいかないなと思い、素直に答えることにした。きっと、彼なら、察すことも無く、終わるだろうから。
目を閉じ、兄を思い出しながら、答えた。
「…私の兄、ですね。性格的には、この人…です。あ、でも、1人ではないと思います。妹もそうかもしれません」
「兄と妹、か…そういえば、前の日も、話してくれたよね」
「はい、頼もしい2人なんですよ。頭も良くて、容姿も整ってて、運動もできちゃうんです」
そう言い、彼の言葉を待つが、一向に何かを言う気配は無い。ただ静かな表情で、私の言葉を待っている。
「強いんですよ。強いから…こんな事ができるのも、やるような人も、私には、あの2人しか浮かばないんです、けど…あの、疑問点があって…」
「…？疑問点って？」
「え、えっとですね、その…」
でも、その先が言いづらくて、困ってしまった。これを言ったら、彼は、どう思うのだろうか。十中八九、私と同じことを思うだろう。でも、私にしか知らない、サラちゃんと兄さんの、ある弱点を、私は、知ってしまっていた。だから、1人ではないと確信がつけたのだ。
さすがにこれは、言わないといけないよね。きっと彼は、リンタロウくんは、このゲームを続けなければならないのだから。
意を決して、私は、彼に、ある言葉を告げた。
「…実は、サラちゃんと、兄さんは…その…」
「うん」
「…そんな、高レベルのハッキングなんて、できないんですよ」
「…は？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 40人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆのみ(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» ありがとうございます！少しずつ更新していく予定なので、ゆっくりお待ち頂けますと嬉しいです…！ (2021年9月11日 21時) (
レス) id: 19928cbf59 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年9月11日 1時) (レス) id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆのみ(プロフ) - nayuさん» nayuさん…！はい、更新頑張りますっ！コメントありがとうございます(^^) (2021年7月19日 10時) (レス) id: 19928cbf59 (このIDを非表示/違反報告)
nayu - ゆのみさん！スランプ状態なのはわかっていますが、更新頑張ってください！ (2021年7月19日 6時) (レス) id: 900d4dc860 (このIDを非表示/違反報告)
ゆのみ(プロフ) - nayuさん» ありがとうございます！そう言って下さり嬉しいですっ！ライムちゃん、大人っぽくするつもりだったのですが、結構可愛くなっちゃいました(笑) (2021年6月27日 12時) (レス) id: 19928cbf59 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
