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点滴のみになって、移動も楽々。



入院生活って楽しいけどどことなく疲れる。



小さいころ入院してみたいなぁなんて思った私を少しバカにする。



とみたんの部屋に遊びにいこう。



部屋から出るのは初めてで、ワクワクも少なからずある。



801号室って確かこっちって言っていたような。



忘れかけている記憶を辿りながらついた病室。



だけど、看護師さんたちが慌ただしく出入りしているのだ。



ここは個人部屋だからとみたんが何かあったってことしか考えられなくて、急にさっきのワクワクからドキドキへ変わる。



「開けてください」



看護師さんから少し冷たく言われ、すいません、と震える声でどく。



それと一緒に運ばれているとみたん。



汗をびっしょりかいて、苦しそうな顔をしている。



少し遅れて出てきたのは、とみたんのお母さんであろう人。



「…あなた、もしかしてAちゃん?」


『はい、そうです…』


「圭からよく聞いてるわよ」


『とみ…圭くんどうされたんですか?』


危うくとみたん、と呼びそうになったのをとめ、圭くん、と呼ぶ。



「お見舞いに来たら息が荒くて…。」



そうなんですか、と寄り添う私。



『圭くんから聞いてると思うんですけど、私も同じ病気です。

 余命は圭くんより早い半年と言われました。

 でも私、圭くんみたいにあんな様子が急変したことないので、辛さが分からないです…

 ごめんなさい』



「Aちゃんは悪くないわよ」



とお母さんは言うと、一緒に来る?何時間もかかるけど。と、手術室前まで連れて行ってくれた。



「圭ね、入院したの一昨年なの」


思っていた以上の年月で、驚く。



「何回かこうなっているから慣れているのかもしれないけどやっぱり心配よね」



辛い。



半年しか余命がないのに、私の方がいい過ごし方してるなんて。



「この病気、女の人って滅多にかからないらしいわよ。

 世界でも珍しい病気で、男女の割合は7:3。
 圧倒的に男性の方がなりやすいんだって。
 だからか、女性がなると余命は短いわ、気づきにくいわで、デメリットしかないのよね」



どの病気もデメリットしかないわね、とお母さんはまた笑うと、手術室のランプを確認した。



もちろん、まだ終わっていない。



『絶対、圭くんを幸せにします』



結婚式の何かかと思わせるような言葉。



自分でも何言ってるんだと思う。



そう、よろしくね。とお母さんはまた笑うと、心配そうに手術室の扉を見つめていた。

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作者名:〒 き よ か 。 | 作成日時:2018年3月4日 17時

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